九州大学は12月6日、広島市立大学および西日本電信電話(NTT西日本)と共にLA(ラーニングアナリティクス)に関する共同トライアルを実施すると発表した。

LAとは、データの分析に基づいてより効果的な教育や学習を実現することを目的とした新しい学問分野を指し、情報学や情報科学、教育工学、教育学、学習科学などから構成される学際領域研究である。

  • 3者による取り組みのイメージ

大学は新型コロナウイルスの影響によって、従来のような通学を前提とした授業からの大幅な転換が必要とされており、リモート授業や感染防止対策を講じたうえでの対面授業の実施、オンライン環境での海外留学の代替などが実施されている。

こうした中で、今後は対面授業とリモート授業を組み合わせたハイブリッド型教育は主流となることが予想され、さらに多彩で効果的な学修機会が求められるなど、新たな大学教育の在り方が模索されている。

九州大学は2014年よりオンライン授業を全学へ提供しており、2020年度後期には約4800科目でオンライン講義を実施している。2021年4月にはLAセンターを設立し、教育データの分析研究を通じたエビデンスに基づく教育の推進を行い、学修の改善に貢献しているという。

このような背景を受けて、九州大学とNTT西日本はLA技術の活用により個人の主体的な学修や個別最適化された学修指導、特色ある学校づくりによって大学教育のデジタル化を支援する連携を進めている。今回は、九州大学とNTT西日本のLA教育分野の連携を全国の大学へ展開するための初の試みとして、広島市立大学を実証フィールドとした共同トライアルを2022年4月より本格実施する。

トライアルの主な役割として、九州大学はLA研究に関するアドバイスを提供し、NTT西日本は九州大学が持つLAの仕組みにNTTのAI技術を組み合わせることで電子教科書などを用いたLAサービスのプロトタイプ開発などを進める。広島市立大学は標準化されたLAの仕組みを活用した分析の可視化とフィードバックに加えて、セミナーやゼミなど講義のタイプに合わせたLA活用などに取り組む。