降格、減給、解雇…“違法行為を通報した人”が不利益な扱いを受けないように守る「公益通報者保護制度」とは?
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。12月5日(日)の放送では、消費者庁 参事官(公益通報・協働担当)付 政策企画専門官の金山貴昭(かなやま・たかあき)さんに、「通報者を守ります! 公益通報者保護制度」をテーマに話を伺いました。


(左から)金山貴昭さん、足立梨花、青木源太



◆重大な事故が起きないように

事業者による違法行為などを労働者が然るべき場所に通報することを、公益通報と言います。事業者による違法行為とは、例えば、“不良品であることを隠して回収する”“品物の産地を偽って販売する”“報告の義務がある事故が起きたにもかかわらず、担当機関などに報告をおこなわない”などです。こうした行為は、内部の労働者などからの通報で明らかになることが少なくありません。

事業者による違法行為を公益通報によって明るみにすることは、その違法行為を改めるきっかけにもなります。また、それにより私たちの安全が守られ、社会に利益をもたらすことになるので、褒められる行為と言えますが、自分が勤めている会社の不正を告発するのは勇気のいることです。

通報することによって、会社での立場が悪くなったり、辞めざるを得ない状況に追い込まれたり、最悪の場合、会社が倒産して働く場を失う可能性も否めません。とはいえ、そうした心配から通報をためらい、事業者の違法行為が放置されたままになると、重大な事故が起こってしまうかもしれません。

そのため、公益通報した人が通報したことを理由に、事業者から解雇や降格、減給などの不利益な扱いを受けることがないように、2006年に施行されたのが公益通報者保護法です。近年も企業による不祥事は後を絶たず、早期に問題を改めて被害を防止することが求められているため、「これまでの法律が一部改正され、2022年6月からの施行を目指して準備をしている」と金山さん。

◆一部改正される公益通報者保護法を解説

公益通報者保護法に基づいて通報者が保護を受けるためには、“通報者”“通報内容”“通報先”に一定の要件があります。まず“通報者”は、企業などの労働者であること。労働者とは正社員、派遣労働者、公務員、アルバイト、パートタイマーなどのほか、下請け業者の社員やアルバイトなども含まれます。

金山さんは、「その企業に勤務する労働者であれば、基本的にはどんな雇用形態であっても労働者に含まれますし、その企業に下請け業者から派遣された労働者でも、取引先の労働者でも保護の対象となります」と説明。これに加えて、新しいルールでは「退職後1年以内の退職者や役員も保護の対象となる」と補足します。

“通報内容”の要件は、対象となる法律に違反する犯罪行為、または最終的に刑罰につながる行為をおこなっている事実があれば、通報の対象になります。ちなみに、対象となる法律は現在476あり、例えば、刑法、食品衛生法、個人情報保護法、労働基準法など“国民の生命、身体、財産、その他の利益の保護にかかわる法律”です。

実はこの内容も一部改正され、新しいルールでは行政罰も対象になりました。つまり、これまでは刑事罰に当たるような違法行為が事実としてあった場合のみ公益通報とみなされていましたが、2022年6月以降は、行政罰が科される行為があれば、これも公益通報に該当し、通報者は保護の対象になります。

“通報先”は3つあり、1つ目は労働者が働いている“事業者内部”。2つ目は処分または勧告等をする権限のある“行政機関”。3つ目は“その他の事業者外部”、例えば、報道機関や消費者団体、労働組合などです。この“通報者”“通報内容”“通報先”の3つが要件を満たしていれば、公益通報者として保護され、解雇などの不利益を被ることはありません。

「要件を満たしているか分からない、通報先が分からないなど、疑問点がありましたら、消費者庁が設けている『公益通報者保護制度相談ダイヤル(03-3507-9262)』に連絡を。関係すると思われる省庁の“公益通報窓口”をネットで検索のうえ、お問い合わせいただければ」と金山さん。

また、新しいルールでは、保護の内容も改正されており、「『通報されたことによって損害が生じた』などと言って、事業者が損害賠償を求める裁判などを起こしても、損害賠償が認められないことを明確化するために“公益通報者に対して、賠償を請求することができない”と法律に明記されました」と解説します。

◆通報者を守る法律であり、事業者を守る法律

今回の改正では、事業者が内部通報に適切に対応するために必要となる体制を整備することが義務付けられます。ここで言う体制とは、通報の窓口を設置することや、通報に対してきちんとした調査をすること、通報により明らかになった違法行為をあらためる措置をおこなうことです。

また、これまでは“努力義務”とされていましたが、今回の改正によって“義務”となることが決定。ただし、従業員数300人以下の中小事業者の場合は“努力義務”となっています。こうした体制づくりがしっかりとおこなわれるように、事業者に対して、行政機関による助言や指導、勧告がおこなわれ、この勧告に従わない場合は、事業者名を公表する行政措置をとることも新たに定められました。

さらにもう1つ、「大きな法改正がある」と金山さん。通報者の情報を知る立場にある者、例えば、内部調査などをおこなう担当になった者などに対して、通報者を特定させる情報を漏らしてはならない守秘義務が定められました。これにより、「違反した者は刑事罰の対象となり、30万円以下の罰金が科せられる」と言います。

改正法が施行される2022年6月以降に守秘義務違反があれば、個人が罰せられます。これも内部通報者を守るために新たに定められたルールで、「知らずに違反することがないように注意してください」と警鐘を鳴らします。

事業者は、しっかり体制づくりをして事業者内の問題を早期に発見して対応していくことで、「自浄作用が働き、不祥事を未然に防ぐことができるなど大きなメリットがある」と見解を示します。あらためて「公益通報者保護法は、公益通報者を守る法律であると同時に、事業者を守る法律でもある」と強調していました。

今回の話を聞いて、足立が「“通報者”、“通報内容”、“通報先”の3つが要件を満たしていれば、公益通報者として保護されるということを知ってもらいたい」と話すと、青木は「公益通報者を守る法律であると同時に、事業者を守る法律でもあるというところですよね。悪事が続けられていたら、事業者にとっても大きな不利益になりますから」とうなずきました。


(左から)足立梨花、青木源太




<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/