日本民営鉄道協会は11月29日、2021年度上期の鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況を発表した。調査対象は大手民鉄16社(東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、東京メトロ、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄)、調査期間は2021年4~9月。

暴力行為のきっかけ、「迷惑行為を注意して」が最多

  • 年度別 暴力行為発生件数(出典:日本民営鉄道協会Webサイト)

2021年度上期の鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は54件で、前年同期と同数だった。同調査では、「暴力行為の発生件数は横ばいだったが、4月25日から9月30日まで、長期にわたり緊急事態宣言が発令され、人流が抑制されていたことを踏まえると、軽視できる状況ではない」としている。

暴力行為が発生する状況を調べたところ、「迷惑行為を注意して」(26%)や「理由なく突然に」(24%)が多く、この他、「酩酊者に近づいて」が15%、「けんかの仲裁」が7%、「その他」が28%となった。

暴力行為が発生した時間帯については、「深夜帯(22時~終電)」(21件)や「日中(9時~17時)」(19件)が多かった。

加害者年齢をみると、20代以下と40代が同率の22%、60代以上が21%、50代が17%、30代・不明が同率の9%と、幅広い年代に分布していることが判明。また、半数以上の52%が酒気帯び状態で暴力行為に及んでいた。

日本民営鉄道協会では、「犯罪である暴力行為をなくし、安全で快適な鉄道を維持するため、当協会では引き続き啓発ポスターの提出など各種の取り組みを実施していく」という。