『無職転生』内山夕実&加隈亜衣「私たちが “本気だした” 瞬間!」

トラックに轢かれて命を落とした34歳・童貞・無職・引きこもりの男が、剣と魔法の異世界に赤ん坊として生まれ変わった。

男は少年・ルーデウスとして、異世界で今度こそ本気を出して生きていこうと誓う。

幼少期から魔法を学び、出会った人々と交流する中で成長していくルーデウス。

魔力暴走による転移事件で魔大陸へと飛ばされた彼は、剣の才能は抜群だが凶暴な性格の少女・エリス、魔族「スペルド族」の寡黙な戦士・ルイジェルドとともに冒険者パーティー「デッドエンド」を結成し、過酷な環境の魔大陸から、生まれ育ったアスラ王国へ帰還すべく、旅を続けるーー。

”なろう系ライトノベルのパイオニア” と呼ばれる原作をアニメ化した、”人生やりなおしファンタジー”『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』。

現在、その第2クールが絶賛放送中だ。

練り込まれた異世界描写と、個性的なキャラクターたちのドラマが見どころの本作。

主人公・ルーデウスを演じる内山夕実と、ルーデウスの仲間であるエリスを演じる加隈亜衣のインタビューを通して、その魅力を紹介しよう。

また、二人の声優が経験した「本気を出した瞬間」のエピソードも必読だ。

▲内山が演じる主人公・ルーデウス。

▲加隈亜衣が演じるエリス。

>>>【画像】『無職転生』の場面カット(写真8点)

(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

◎魔神語は大変だった!◎

ーーまずは1クール目のおさらいということで、お二人それぞれ1クール目の印象的だったシーンを教えてください。

加隈 魔法のシーンがとても印象的です。エリスは第5話からの登場だったので、物語のはじめは私も視聴者として観ていましたが、最初にルーデウスが放った魔法の水の表現や、魔力が集まってくる描写、そして魔法を出すことができたルーデウスの表情がとても印象的で。「この作品、すごく好き!」と思いました。『無職転生』という作品を象徴するような、”おもしろい世界にきてしまった” という感覚がぎゅっと詰め込まれていたシーンだと思います。ロキシーとの卒業試験での魔法もとても印象的でした。そしてエリスとしては、第5話でルーデウスに助けてもらうシーン。ルーデウスの魔法であがった花火が綺麗に描かれていて、エリスが驚いて、言葉を我慢しなければいけないのについ息を飲んでしまう場面は、もう……すごく好き! 最高かよ! と(笑)、何回も見直してしまいます。

ーーエリスは感情の変化が大きいですが、それは演じていても感じられますか。

加隈 そうですね、感情の振り幅が大きくて、私自身が生きていてこんな大きな感情表現はしたことがないというところを、易々と超えてくる子です。登場シーンで、怒っていて湯気が出ているキャラを見たのは、はじめてでした(笑)。私の演技では足りていないかも、というところは、絵の動きや演出で引っ張ってもらっているような気がします。ただ、最初は「エリスに負けるか!」と私自身とエリスとのバトルのような気持ちでしたが、最近は「エリス、わかるよ」と寄り添えるような距離感になってきたかなと感じています。エリスも最初はじゃじゃ馬……ではなくてじゃじゃライオン(笑)? そんな獰猛な性格でしたが、みんなのおかげで人間らしくなってきて、普通に隣でしゃべっていても大丈夫な子になってきたという変化を感じて、そういう部分では演じやすくなったのかなとも思っています。

ーー内山さんは、1クール目の印象的なシーンは?

内山 率直に言うと……選べないです(笑)! くまちゃん(加隈さん)があげてくれた魔術のシーンや卒業試験ももちろん思い出深いですが、あえて他の印象深いことをあげるなら、魔大陸にいってからの魔神語(作中で使われる架空の言語)が大変だったな、と。スタッフの方たちがひとつの言語としてしっかりと組み立てているので、しっかりと観て、聞いていただければ、同じ挨拶のところは同じように発音しているとか、本当に説得力のある表現になっています。それだけに私たちとしては、感情表現のニュアンスも含めた上で、話したこともない言語を自然に話せるようにしなければいけなくて。いつも以上に自宅での練習も重ねました。

——完全に架空の言語を、自然に話す。とても難しそうですね。

内山 本編では字幕でフォローもしていただいていますが、アフレコ台本には何を言わんとしているかすべて日本語で表記されています。そして台本とはあえて別に、魔神語だけが書かれた、レポート用紙何枚分だろう? という冊子をもらうんです。私の場合は、それを自分のセリフのところに全部、書き写して挑むのですが、会話をする相手も魔神語なので、どこで相手のセリフが終わるのか聞き取るために、相手の魔神語もちゃんと理解しておかないとタイミングがおかしくなってしまうんですよ(笑)。だから結局、すべて書き写すという作業をして、そして、自分の中で咀嚼して落とし込んで、ようやく練習へという感じでした。魔大陸での魔神語のシーンにはとにかく時間をかけていたな、という印象です。

ーーわざわざ書き写すんですね。

内山 カタカナを羅列するより、ひらがなで書き写したほうがいっそ読みやすいとか、人によってそれぞれやり方は違うと思います。ルイジェルド役の浪川大輔さんにも「どうやって書き写した?」と聞かれたりしました。コロナの影響で、みんな一緒に収録ができなかったということもあり、魔神語の(演じ方の)正解が誰にもわからないまま挑まなければならなくて、大変でした。それでも私はまだ「ルーデウスが魔神語を覚える」という段階がストーリー上にあったので、それなりの心づもりで挑めたのですが、魔大陸でゲスト出演したみなさんは、台本といっしょに別の分厚い冊子も渡されて「あなたは日本語を一切、しゃべりません」「えっ!?」という感じで(笑)。本当に大変そうでした。そういう方々は、ほかでは味わえないような感覚だったんじゃないかなと思います。

加隈 しかも、その魔神語を読み解いて、アドリブで魔神語を使っている人もいらっしゃいました。「どういうこと!?」と思いました。エリスは魔神語が理解できないという設定ですから、私は使う場面がなかったので、見ていて「声優さんってすごいなぁ……」って(笑)。

(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

◎深まった絆が見どころ!◎

ーーそして現在は、2クール目がスタートしていますね。

内山 1クール目から少し間が空いて、みなさんをお待たせしてしまったなという感覚もあるのですが、その間に再放送もあったので、結果的には連続して2クール目に入れたというが、個人的にはうれしかったです。

加隈 2クール目に入って急に雰囲気が変わったら嫌だな、私の好きな『無職転生』の雰囲気がどうなるのかな……と思っていたら、主題歌も大原ゆい子さんで変わらず、世界観を見せてからお話に入っていく流れも変わっていなくて安心しました。それでいて、舞台となる大陸がどんどん変わっていって、海を見て喜ぶシーンなど、新鮮な一歩一歩に感動する部分もあるし。しかも、みんながより ”仲間” になって、一緒に動いていく姿を見ると「何だかチームだな」って感じられて、ルーデウスたちをさらに応援したくなりました。

——ルーデウス、エリス、ルイジェルド、3人の冒険者パーティー「デッドエンド」の絆が、さらに深くなっていますよね。

内山 1クール目の特に後半、魔大陸に行ってからの諸々のできごと、ルイジェルドとの確執などが、ルーデウスにとって大きかったと思います。それを経てデッドエンドとしての絆がより深くなってからの2クール目なので、冒頭から信頼し合っている雰囲気は強く感じられましたね。はじめて出会った頃は、ルイジェルドにとってはルーデウスもエリスも守るべき相手、子供という感覚だったと思いますが、1クール目の最後にお互いに歩み寄って、ルーデウスのことも「お前は戦士だったんだな」と認めてくれて。言葉数こそ少ないルイジェルドですが、ルーデウスやエリスのことをずっと見守ってくれて、ちょっとした心境の変化なども見落とさずに手を差し伸べてくれて。ですから、特に2クール目の第1話(第12話)はぐっとくるものがありました。

加隈 せっかく絆が深まったはずなに、またケンカしそう? どうしよう?……と思っていたら、解決方法をちゃんと話合っていましたしね。チームとしてどんどん絆を深めているんだな、それぞれを尊敬する度合いがどんどんあがっていっているんだなと感じられました。安心感が増したし、逆に、絶対に別れてほしくないなと応援したくなる気持ちもより強くなっている気がします。1クール目は個々のキャラが好きという感覚でしたけれど、2クール目は「このキャラとこのキャラの関係、いいよね」という視点も生まれて、楽しみ方がさらに増えたと思います。

内山 それから、第2クール初回の話数でルーデウスが魔眼を手に入れて、新しい戦い方もできるようになったので。それを今後、どのように活かしていくかにも注目してほしいですね。

加隈 そうですね。強くはなったけれど、そこでまた問題に巻き込まれちゃう。上手くスムーズに解決してほしいなと思うけれど、同時に、どうやって解決するんだろうっていうワクワクも大きいです。

(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

◎声優になるまでの紆余曲折!◎

ーーところで、『無職転生』は「今度の人生こそ本気を出すぞ」というお話ですが、お二人は「今度こそは頑張るぞ」と決意をあらたに頑張った経験はありますか?

加隈 私はもともと会社員として地元の福岡で働いていたんです。そこから、転職して声優になりたいと思ったのですが、そのためにはやはり上京して、一人暮らしをしなくてはならなくて。自分で貯金をして、家を借りて……というのがちょうど東日本大震災の年(2011年)だったんです。だから、家が決まらないまま上京して……。

内山 家が決まらないうちに上京したの!?  そこで踏み出す一歩は大きいね。

加隈 あの時は、よく1年延ばさずに上京したな、と。当時は「行くって決めたし」くらいの気持ちだったけれど、人生の中でああいう決断をしたのはひとつ、大きかったのかなと。今さら福岡に帰れないと思って、自分なりに頑張っていましたし。その当時は、あらたまって「本気出す!」って決意したわけではなかったけれど、今、振り返ってみれば「本気だったな」って感じです。

内山 私もほとんど同じような話ですが……私は中学3年生の時に声優事務所に入ったのですが、大学1年の終わりくらいの頃に家庭の事情から、「就職しなさい」と親に言われてしまったんです。私としては正直「これからどんどん仕事をやっていくぞ」というタイミングだったのですが、親たちは声優という仕事に詳しくなかったりもするので、「じゃあ、何の仕事をしているんだ?」と聞かれても説明しにくかったりもして。両親も心配をしていたからこそだとは思うのですが、結局、親の決めた会社に入らなければいけなくなり、泣く泣く一度、声優をやめることになりました。でも、2年ほどOL生活をしたところで、自分が声優を目指していた当時に切磋琢磨していた子たちが活躍しているのを目の当たりにして、やはりどうしても諦めきれなくて。両親に泣きながら頭を下げて、声優の道をもう一度、歩むことになりました。その時は、いよいよ……もともと本気ではあったはずですが、「復帰してもう一度」となった時の本気度は、最初の頃とはくらべものにならないくらいだったと思います。両親や親戚も納得するくらいの仕事をしないと、私だけじゃなくて私のことを許した両親も責められてしまうと思ったので、まさに「本気を出さなきゃいけない!」という気持ちで再挑戦しました。そして、いろいろな方に助けていただきながら、今に至ります。

ーーお二人とも、それこそ異世界に転生するかのような大きな転換を経験なさっているんですね。貴重なお話をありがとうございました。最後に、本作のファンにメッセージをお願いします。

加隈 1クール目の魅力を引き継ぎつつ、「これ見て! あれ見て! ここもすごいでしょう!」とオススメしたくなる新鮮な魅力も詰まった2クール目が、絶賛放送中です。ぜひ一緒に盛り上がっていきたいので、毎回見逃さないでください!

内山 ルーデウスは何か特別な能力を持って異世界に転生したわけではなくて、変わらない自分と向きあい、もがいて、もがいて、前世のトラウマを克服していきます。そんな物語が、みなさんが明日を生きていく活力になるといいなと思っていますので、ぜひ、ルーデウスたちの行く末を見守っていただけたら嬉しいです。

*『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は毎週日曜日24:00よりTOKYO MX、KBS京都、BS11ほかにて放送中、dアニメストア・ニコニコほかにて配信中。

(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会