サイトコア(Sitecore)は11月25日、Sitecore CDP(カスタマーデータプラットフォーム)ならびにSitecore Personalizeを日本市場で提供開始すると発表した。

Sitecore CDPは、顧客データの分析、リアルタイムデータの活用、セグメンテーションが可能であり、顧客に対してパーソナライズされた情報提供を実現するソリューションとして既に海外で使用されている。今回、SaaSベースで、日本で初めて提供する。

一方のSitecore Personalizeは、CDP搭載の技術を応用した、新しいSaaSベースのパーソナライゼーションエンジン。

Sitecore CDP/Personalizeでは、リアルタイムCDPエンジン、CDPデータレイク、ディシジョンモデル、仮説検証最適化、パーソナライズ エンゲージメントなどの機能を提供する。

  • Sitecore CDP/Personalizeのシステム概要

リアルタイムCDPエンジンがAPIを通して閲覧履歴などのデータを収集。そのデータを使って顧客プロファイルの統合を行う。 CDPデータレイクは顧客マスタDBのような動きの遅い大量の顧客データをバッチ処理で取り込み、匿名ユーザーのID等が特定された際に、これらのデータを統合できる。ディシジョンモデルは、これらのデータをもとに、AIや機械学習を使って、何を顧客に情報提供するかをインメモリで決定する。 仮説検証最適化では、A/Bテストを実施。 パーソナライズ エンゲージメントは、APIを通じてSitecore CDPにアクセスし、レコメンドデータを取得する。

  • 作成された個人プロファイル

サイトコア 代表取締役 カントリーマネージャー 酒井秀樹氏は、新製品の特徴として、コンポーザブルDXPとDecision Model and Notation(DMN)準拠の2つを挙げた。

コンポーザブルDXP(デジタル エクスペリエンス プラットフォーム)は、それぞれの機能を独立したコンポーネントとして提供することで、企業は既存のプロセスやインフラに合わせてDXPを柔軟に構築することができるようにするもの。すでに自社で導入しているCDPにSitecore Personalizeを追加したり、とりあえずSitecore CDPのみを導入するといったスモールスタートが可能だという。

  • コンポーザブルDXP

サイトコア 代表取締役 カントリーマネージャー 酒井秀樹氏

酒井氏は「われわれは消費者のプロファイルを見て、その人に合った情報を継続的に提供するためのシステムをDXPと呼んでいる。サイトコアは成長戦略として、強力なAPIを持つSaaS企業の買収、 技術イノベーションを加速するコンポーザブルDXP(デジタル エクスペリエンス プラットフォーム)の実現、人員の大幅な増強、日本および中東市場への投資強化の4つをやっていく。そして、成長戦略を実現するために、それぞれの分野で競争力の高い、比較的歴史の浅い新しいテクノロジーを持つSaaSベースの企業を短期間に4社買収した。2021年4月には リアルタイムのパーソナライゼーション、及びCDPの機能をもつ BOXEVERを買収した。本日発表のCDPはこの製品になる。なぜ、短期間で企業を買収したのかといえば、 コンポーザブルDXPを実現するためだ。これまでサイトコアは、デジタルマーケティングに必要な機能が一体となったオールインワンのソリューションとして提供してきた。コンポーザブルDXPは、必要な機能をプロセスやインフラに合わせてカスタマイズして提供するBest of Breed製品として提供するもの。コンポーザブルDXPは今後、カスタマーエクスペリエンスにおいて重要な要素になる。コンポーザブルDXPは、使いやすさとテクノロジーの柔軟性のバランスが取れた良いソリューションだ。サイトコアはコンポーザブルDXPによって、第2の成長期に向かって力強く成長していく」と述べた。

一方のDMNは、ディシジョン(意思決定)を可視化する ための記述方法で 米国Object Management Group(OMG) で標準化された規格。どういうデータを使って、どういう顧客セグメントに、何をレコメンドするかを可視化する。新製品では「ディシジョンモデル」をドラッグ&ドロップで作成でき、標準規格に対応したことでGoogle AI等が作成したモデルとも連携できるという。

  • 航空業界のディシジョンモデルの例

上の図でいえば、リアルタイムのWEB訪問セッションとCDPに蓄積された顧客プロファイルをデータソースとして、直近5回の検索条件を抽出し、それを元に、現在提供中のオファーから、どれをレコメンデーションするかの判定ロジックを定義する。例えば、目的地に「パリ」「ローマ」が含まれているとき、「バルセロナ」関連のスペシャルオファーをレコメンドする。

サイトコア セールスグループ ソリューションコンサルタント 小川裕史氏

サイトコア セールスグループ ソリューションコンサルタント 小川裕史氏は「技術的要件を満たすプラットフォームの構築は必要だが、それだけでは組織に定着しないケースも多い。言語化が難しいビジネスの意思決定プロセスを可視化、情報共有を促すためのSitecore CDP/Personalizeをリリースする。Sitecore CDPはあらゆるデータを統合し、顧客プロファイルを作成するためのプラットフォーム。PersonalizeはCDPのデータをもとに、マルチチャネルに一貫したコンテンツを提供し、A/Bテストを実現するためのツールだ。これらを組み合わせることで、競合と差別化ができる」と述べた。

また、酒井氏はサイトコアジャパンの成長戦略として、人員を倍増による、販売支援、サポート体制の拡充、パートナーエコシステム強化、日本のデータセンターでサービス 提供の実施、広告宣伝の強化の4つを挙げた。

  • サイトコアジャパンの成長戦略