「『できる?』と聞かれたとき、僕はいつも『できる』と答えてきました」――。12歳でジャニーズ事務所へ入所し、芸能界生活は30年以上。井ノ原快彦はアイドルとして、俳優として、司会者としてたくさんの夢を叶えてきた。

前作に続き井ノ原がナレーションを担当する『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』が、11月5日に公開される。今作のテーマは“夢”。「自分と重ね合わせて考えさせられる脚本でした」と語る井ノ原は、これまでどんな夢を追いかけ、叶え続けて来たのか。個性がなくコンプレックスだったと感じていた自身の「声」や、V6メンバーとすみっコたちの相性についても話を聞いた。

  • ナレーションを務めた井ノ原快彦

    ナレーションを務めた井ノ原快彦

――2019年11月に公開されたすみっコぐらし初めての劇場アニメ『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は子どもが楽しめる映画であることはもちろん「大人も泣ける作品」として口コミが広がり、異例のロングラン上映で動員120万人超えの大ヒット作品となりました。井ノ原さんのもとにも、反響は届きましたか。

前作は「すみっコぐらし」初めての映画化ということで、本当にたくさんのファンの方が楽しみに待ってくださっていたんだと思います。僕もいろいろな仕事場で「見たよ」とか、「子どもと一緒に見に行ってつい泣いちゃった」という声を聞きました。ステイホーム中にDVDや配信で見たという方も多かったですね。

――井ノ原さん自身やV6の皆さんも「すみっこ」が好きなんですよね。

すみっこを探しちゃいますね。楽屋もすみっこから埋まっていきます。最初から真ん中にドーンと座る人はいないです。

  • 『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』より(C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部

――もしV6の6人が「すみっコぐらし」の世界に飛び込んだら、すみっコたちと仲良くなれそうなメンバーは誰だと思いますか。

全員ですね。人がいいから、面倒を見てあげているうちに仲良くなれるんじゃないかな。誰かがやって来たとき、みんな「お~!」と派手には迎え入れず、時間をかけて徐々に「バナナ食べる?」とか、些細な会話から始めるタイプ。その場限りじゃない優しさを持っている人たちなので、きっとすみっコたちと上手くやれると思います。

――すみっコたちの中で、一番自分に近いと感じるキャラクターは。

それぞれに人の持つピュアな心が散りばめられていて、どの子にも共感できるんですよね。僕はしっぽを残さない派ですが、えびふらいのしっぽが好き。今作ではしろくまにグッと来るシーンもありました。

――井ノ原さんのナレーションはとても癒やされる声だと評判です。自身の声をどう思っているのか教えてください。

声真似をされたこともないですし、これまで声の仕事もなかったので、特徴がない声だと思っていました。昔はグループでレコーディングしても、完成したものを聞いたときに「自分の声はどれだろう」と埋もれてしまう声がコンプレックスでした。V6は個性的な声のメンバーが多いから「ここはこの人が歌っているな」とすぐに分かることが羨ましくて、デビューしてから5年ほどはわざと個性的な声が出るように歌っていたこともありましたね。無理してもしょうがないなと思ってやめてしまったんですけど。

でもこの映画は、すみっコたちがいるだけでいい。世界観を邪魔せずにすみっコたちに寄り添えるくらいの声がいいと思うので、僕が個性的な声だったら合わなかったかもしれない。だから、「癒やされる声」だと言っていただけるのはとてもうれしいです。

――今作は「夢」が大きなテーマとなっています。脚本を読んでどんな印象を持ちましたか。

自分と重ね合わせて考えさせられる脚本でした。「夢って何だろう」とか、「夢を持ってなきゃいけないのかな」とか、「小さい夢じゃダメなのかな、いやそんなことないよな」とか。すみっコたちは完璧じゃないから皆一緒にいるんだけど、今作の脚本を読んで、実は離れても1人でしっかり立っていける子たちなのかもしれないという印象を受けました。