新型コロナの影響による解雇など、経済的に困窮して国民年金の支払いが難しくなる人も多いです。収入減少などの場合に国民年金は1年間免除してもらえますが、受け取る年金が少なくなるのが注意点です。

この記事ではどの程度年金額が減るのかについて解説します。後で追納することにより減少分を元に戻すことも可能なので、支払えないと思ったら免除の手続きをしましょう。

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免除される期間の年金額の減少幅

年金の免除は下記の4種類があり、保険料を全額納付した場合と比べて、それぞれ下記のように年金額が下がります。

・全額免除:2分の1減少
・4分の3免除:8分の5減少
・半額免除:8分の6減少
・4分の1免除:8分の7減少

もっとも減少幅が大きいのは全額免除されるケースで、その期間分の年金は半額に減ります。経済的には助かりますが、将来の年金への影響も大きいということです。

4分の1免除であれば8分の7の減少で済みます。まったく支払えないことはないけど、少し低くしてほしいという場合に利用すると良いでしょう。

具体的な減少額の事例

たとえば以下のようなケースで考えてみましょう。

20歳から国民年金保険に加入していたが、2020年4月から2021年3月までの1年間(12カ月間)、保険料の納付を全額免除した。その期間以外は全額納付している。

国民年金の満額は40年(480カ月)納めた場合で、毎年780,900円(令和3年時点)です。 よって、以下のように計算されます。

1年間だけ全額免除した場合の老齢基礎年金額
=780,900×(480-12)/480 + 780,900×12/480×1/2=771,138円

満額の場合の約78万円から、9,500円ほど減少することになります。

免除を受けられる主なケース

国民年金の免除を受けられる、主な事由は下記のとおりです。

・収入の減少(新型コロナの影響による減収も含む) ・失業
・被災
・生活保護の受給
・学生特例
・DV被害
・産前産後

自分が免除されるか知りたい人は、日本年金機構のホームページを見るか、「ねんきんダイヤル」に電話をかけて相談してみましょう。

全額免除や4分の3免除など、どの種類の免除が適用されるのかは前年の所得で決まります。 また免除を受けるには申請のうえで審査を受ける必要があるので、必ず免除されるとは限らないことに注意しましょう。

免除を受けても年金の受給資格期間には算入される

免除をすると年金額が減るのはデメリットである一方、受給資格期間には含まれる点はメリットです。年金を受け取るには10年の加入期間が必要 ですが、免除された期間も加入期間としてカウントされます。

全額免除されて1円も支払わない期間でも加入期間とみなされます。これに対して未納の場合は加入期間としてカウントされません ので、勝手に不払いで放置するのではなく、免除の手続きを済ませましょう。