WalkMeは10月21日、ソフトウエアの活用やアプリ・ツールの利用など、人や業務にデジタル利用を定着化させる「デジタルアダプション」の概要や動向に関するメディア向け勉強会を開催した。

同社はデジタルアダプションのプラットフォームサービス「WalkMe」を提供している。10月5日にはユーザベースが、Salesforceの早期定着・スキル標準化を目的として、同社のプラットフォームサービスを採用した。2021年10月時点で、国内では50以上の企業や団体が同社のサービスを導入している。

同社によれば、デジタルアダプションとは、ユーザーが最初から意図された通りにソフトウェアを使いこなせる状態を整えることで、ソフトウェアのもつ機能を有効に使い、蓄積されたデータを元に意思決定を行うことで導入効果を最大化するためのコンセプトだという。

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デジタルアダプションの根底には、「テクノロジーからユーザーに寄り添う」発想があるという。

WalkMe 代表取締役社長の道下和良氏は「従来、SaaSやビジネスアプリケーションの導入ではベストプラクティスが志向されたが、それは人がテクノロジーに合わせるということだ。全社規模でデジタルツールの利用が広まる現代では、テクノロジーからユーザーに寄り添うアプローチが求められる」と語った。

  • WalkMe 代表取締役社長 道下和良氏

具体的には、ユーザーの努力や時間が求められる領域で、利用、定着、習熟のための仕組みをシステムのアーキテクチャに取り込むことで実現を目指す。

道下氏は、デジタルアダプションプラットフォームを車のカーナビに例える。

目的地を設定すると到着予想時間や道順が表示され、ナビゲーションに沿って運転するように、デジタルアダプションでは、業務のゴールを設定すると利用しているSaaSなどのUI上に業務遂行のための案内がオーバーレイで表示される。ユーザーは、そうした案内に沿って操作を行う。

  • デジタルアダプションによる案内のイメージ①、出所:WalkMeの講演資料より抜粋

  • デジタルアダプションによる案内のイメージ②、出所:WalkMeの講演資料より抜粋

「1つの操作ごとに案内が表示されるため、ユーザーは迷いなく業務を進められる。データの入力補助やプロセスの自動化も行えるため、誤った操作や入力不足などがあった際は注意喚起を促すなどの設定も行えるので、デジタルに習熟していないユーザーの不安やストレス軽減につながる」と道下氏。

ユーザーがデジタルアダプションツールに従って行った操作は、履歴として蓄積できるので、「ユーザーが業務や操作のどの段階でつまづいているか」を分析することも可能だという。

ヘルプデスクやトレーニングの代替としてイメージされるデジタルアダプションだが、真の価値は業務プロセスの改善や既存サービスへの付加価値提供にある。

WalkMeが提供するプラットフォームサービスは、現在、CRM、HCM、ERPのサービスの利用プロセスのサポートに活用されている。導入企業では日常業務の負荷軽減による生産性向上や低頻度ながら対象ユーザーが多い業務のサポート負荷の軽減、ペーパーレス化に伴うデータ入力のサポートといった効果を得ているという。

システム開発においては、UIやUXの改善にあたってWalkMeを利用することで、SaaS本体をカスタマイズせずに要件を満たしたシステムを導入するケースも出てきている。

  • WalkMe導入による業務プロセスの改善例、出所:WalkMeの講演資料より抜粋

WalkMeのユーザーの利用動向について道下氏は、「当初はSalesforce、Concur Expense、Success FactorsなどのSaaSでの利用が多かったものの、最近は自社が提供するサービスやウェブサイトに組み込まれるケースも増えている」と明かした。

ForresterがWalkMeのユーザー企業を対象に実施した調査では、3カ月未満で投資を回収し、3年間で約2000万ドルの利益が得られ、ROI(投資利益率)は368%だったという報告がなされた。

ガートナーの調査によれば、2025年までに70%の組織がデジタルアダプションを使用するとされており、「DX推進と併せて、デジタルツールやアプリに慣れていない従業員のサポートを目的に日本でも利用が広まる」と道下氏は見込んでいる。