【ワクチン接種証明】民間初の「ワクチンパスポートアプリ」で社会活動の後押しも

「ワクチン接種の推進と社会活動の両立が重要だ。緊急事態宣言下の1年半にわたる苦しい期間を何とか乗り越えた。暗い雰囲気を払拭し、明るい雰囲気を広げていきたい」─。一般社団法人メディカルチェック推進機構会長で前日本医師会長の横倉義武氏はこう強調する。

 同機構と検査キット販売などを手掛けるICheck(アイチェック)は民間で初となる新型コロナワクチン接種証明アプリ「ワクパス」を近日中に配信する。個人も企業も利用料は無料だ。運転免許証などの本人確認書類とワクチンの接種済みを証明する書類を撮影し、アップロードすれば利用が可能となる。

 スマホ画面を賛同企業の店舗などで提示すると、割引などの優待サービスを受けられ、抗原検査キットの購入もできる。リリース時は2回のワクチン接種記録を表示する機能のみを搭載する予定だが、今後、3回目の「ブースター接種」への対応や陰性証明書の発行、海外渡航に向けたグローバルパスとの連携機能を追加する方針だ。

 賛同企業もアパホテル、ステーキ店などを運営するアトム、旅行会社のエイチ・アイ・エス、Jリーグの鹿島アントラーズFCなど10社を数えており、既に賛同を示す企業もあるという。

 ワクパスは企業にとって集客力の向上や安心・安全な労働環境の確保、感染対策アピールによるブランド価値の向上などにつながる。更にQRコードなどを用いないため、ITインフラにコストをかける必要もない。

 本来、ワクチン接種証明は政府の役割。実際、政府もワクチンパスポートアプリの発行を予定する。一方のワクパスはあくまでも民間主導の自主的な取り組み。そのため海外渡航などの公的証明としては使用できない。

 同機構理事長の香山充弘氏(元総務事務次官)は「ワクチン接種証明を求める要望がたくさん届いた。その声にいち早く対応した」と説明する。コロナ禍で打撃を受けた飲食・ホテル・スポーツ・観光業などの再生に向け、「企業とユーザーとの間を簡易な手続きでつなげて社会活動を支援する」(同)ためにワクパスを開発したという経緯。

 メディカルチェック推進機構は健康診断の受診率向上に向けた活動を行うことなどを目的として設立。最高顧問には元自治事務次官の石原信雄氏、元通商産業事務次官の小長啓一氏、元厚生事務次官の古川貞二郎氏、元警察庁長官の國松孝次氏が就き、理事には元警察庁長官の安藤隆春氏、元国土交通事務次官の宿利正史氏、元総務事務次官の岡本保氏や小笠原倫明氏、元厚生事務次官の羽毛田信吾氏など歴代次官が名を連ねる。

 国難の中で経済再生をいかに図るか─。ワクパスは危機感溢れる官僚OBたちが連携して出てきた知恵と言える。

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