台湾南部の南部科学工業園区(台南市)にあるTSMCのFab 14に隣接する形で建設中の再生水プラント建設現場で10月21日午前に火災が発生したと台湾の複数メディアが報じている。

火の勢いが強く黒煙が市街地にまで広がったが、消防車21台が出動し正午前に鎮火したという。また、ファブではなく付帯設備のプラントであったため、隣接したファブの従業員が全員避難したものの、死傷者はおらず、ファブの運用そのものにも大きな影響はでていないという。火災の原因は電気溶接工事中の不注意による火花で可燃性の水パイプラインが発火した可能性が高いとみられるという。

台湾は2020年から2021年上期にかけて、台風がまったく上陸しなかったため、深刻な水不足が発生し、TSMCもタンクローリーを手配して水の供給を続けるとともに、渇水対策として、半導体工場で使用済みの水を再生利用するプラントの建設に着手し、全面的に再生水を導入した世界初の先進的な半導体ファブを構築することを目指し、年内にも完成させる計画としていた。まだファブには、建設中の再生水プラントからの給水は始まっていなかったという。

なお、Fab 14は4月14日、工事現場の作業ミスによる電源ケーブルの切断で半導体の製造現場に停電が発生している。また、3月末にはTSMC本社近くの新竹科学工業園区にあるFab 12でも火災が発生している。こちらの出火元はクリーンルーム外の変電施設の配電盤の電気回路と見られ、何らかの原因で過電流が流れ配線が短絡して出火したものと見られている。