金古聖司、宮田誠

元U-21日本代表の金古聖司が10月23日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。最高のパフォーマンスを発揮するためにコンディションのピークを合わせる“ピーキング”について、MCの勝村政信や解説の都並敏史らとトークを繰り広げた。

今回は、怪我の予防策としてもスポーツ界で注目されているピーキングを特集。ディフェンダーとして東福岡高校時代に全国高校サッカー選手権連覇を経験し、卒業後は鹿島アントラーズに入団して存在感を発揮した金古は、2016年に本庄第一高校のサッカー部監督に就任。

金古がピーキングの重要性を感じたのは、現役時代の苦い経験から。高校時代からアンダー世代の代表に選ばれ、3日間で8試合をこなすこともあったという金古は、「膝の靱帯が伸びていてもテーピングをしてプレーするのが当たり前だった」と打ち明けた。レギュラーとして試合に出続けるためには、多少の怪我には目を瞑りながら試合や練習などに参加。自己管理が出来ないまま無理をした結果、プロ入り直前のワールドユース選手権の合宿で、左膝の十字靱帯を断裂してしまう。Jリーグ1年目は試合に出られず、回復後も度重なる怪我に悩まされ続けた経験から、現在はコンディションアプリを作る会社にも就職。ピーキングの重要性を訴え続けている。

番組では、全国高校サッカー選手権で5度の日本一に輝いた市立船橋高校サッカー部も取材。北嶋秀朗や杉岡大暉、カレン・ロバートなど、数々のJリーガーを輩出してきた名門校でもピーキングが重視されていた。年間通じたプレミアリーグの合間にインターハイや選手権を戦う市船では、選手のコンディションをいかに維持するかが重要。そこで、導入されたのは、生徒自らコンディションを管理できるスマホアプリ「ONE TAP SPORTS」だった。

市船では、上半身&下半身の痛みや自覚的運動強度、睡眠時間や体重、体温、疲労度など、10種類以上の項目を生徒自らが毎日アプリに入力している。この選手の主観的なデータと、GPSで収集した走行距離や心拍数などの客観的なデータをもとに生徒のコンディションを可視化。選手一人一人の数値をフィジカルコーチが毎日チェックし、練習メニューの調整を行うなど、運動負荷をコントロールしているという。

ピーキングは怪我を未然に防ぐ傷害予防として有効な上に、自己管理能力を養うのにも最適。勝村が「自分を知るってなかなかないじゃないですか。でも数値化されていると毎日の自分の体の変化がわかっていく」と感心すると、都並も「気持ちだけ入っていて、体が疲れていると絶対にバランス悪くて怪我する。だからこそ、データの可視化は大切」と、重要性を説いた。

スタジオには「ONE TAP SPORTS」を開発した株式会社ユーフォリアのCEO・宮田誠も登場。ラグビー日本代表のヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズから「疲れている中で試合をこなさないといけないので、選手の状態を見える化できるシステムを作ってくれないか」との依頼を受けて、アプリの開発をスタートしたことを打ち明けた。結果、日本代表は2015年のW杯で当時世界最強と言われた南アフリカを撃破するまでになる。

指導者が選手の限界を知り、適切な指導で成長を遂げた日本ラグビー。都並はサッカー界でも指導者の意識改革が必要だと力説。「経験と勘だけで“こうだろう”と押し付けるのは怪我につながってしまう」と語り、現役時代のあるエピソードを披露する。都並は「ラモス瑠偉さんから“俺、遊んでいるように見えるけど、試合前の3日間は家から出ないぞ”と怒られたことあるんですよ」と告白。ブラジルでは試合にピークを持っていくため、3日前からの調整を重視するのが当たり前なのだという。

そんなコンディション管理の重要性をヴィッセル神戸に所属する酒井高徳も主張。VTRで出演した酒井は、ブンデスリーガへの移籍が決まった際にピーキングを強く意識したのだとか。ドイツでは日本よりもフィジカルコンタクトが激しく、また代表戦なども踏まえた過密日程のことも考えると、毎日の体調を把握するためのピーキングを行う必要があったという。

酒井は血中酸素濃度や脈拍、体温などを計測し、自身の練習メニューを調整。「みんな知らないところで、自分は先に自分の異変に気づいているんだよっていうのは、すごく安心できる」と心境を明かし、「疲れていたら、練習前に入念に準備して、練習をしすぎないようにリカバリーに充てる。試合までの逆算をして、コンディションを調整していった」と自身の調整法を語った。

さらに、スタジオでは学生に向けたアプリを使わなくても行えるピーキング術を紹介。金古が「お風呂に浸かった後でもいいですけど、ストレッチですね。どれくらい自分が伸びるかとか、今日はちょっと曲がらないなとか、その部位に対して自分がまず感じる。もう一つはサッカーノートを取るのもいいですよね。(自分の行動に対しての)記録を残しておけば、振り返ったりもできます」と話し、宮田が「親や指導者に見てもらい、対話の道具に使ってもらうと一番いいと思います」と補足した。

番組では、睡眠時間や足の痛みなど、指導者や両親が必要なものを抜粋し、毎日、5段階評価を付けていけば生徒や子供が自分の体に意識が向くと解説。結果としてピーキングが怪我の予防につながると説明した。