10月31日から11月12日にかけ、英国・グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)のプリンシパルパートナー(最上位スポンサー)である日立製作所(日立)は、10月22日にオンラインで記者会見を開催し、COP26へのパートナーとしての期待や同社の環境事業戦略などを語った。

同記者会見には、同社の執行役副社長アリステア・ドーマー氏が出席。日立がプリンシパルパートナーとなった背景を「脱炭素化を実現するには、例えば都市部では日立が進めている電気バスなどの環境にやさしい輸送手段に切り替えていく必要がある。クリーンな輸送手段にはより多くの電気や電力網が必要で、この分野は日立エナジーが関わっている。日立はモビリティ、エネルギー、産業への深い理解があり、技術も有している。それらを活用すれば、脱炭素社会に貢献できることを世界のリーダーに伝えていきたいと考え、プリンシパルパートナーとして申請を行った」と説明した。

また、COP26にどのような期待をしているかという質問には「2016年のパリのCOPでは気温上昇を抑えるためには何が必要かというターゲットの設定が行われた。そして今回のCOP26では実際にアクションプランの作成が必要だ。多くの議論を通じ、確実なアクションプランへの理解を深め、各国政府、都市、産業パートナーが目標に向かって投資をしていくことが必要だ。そうすることで世界が目標に向かって進むことを期待している」とした。

COP26では脱炭素の取り組みだけでなく、生物多様性や森林保護といったTNFD(Task Force on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)分野での活動についても発表する予定だとしており、同社が取り組んでいる「熱帯雨林の音声データを収集し、動物の声などの変化をデータ解析することで違法伐採の予測を行い、違法伐採を未然に防ぐ」といったプロジェクトについても紹介を行う見通しだ。

ドーマー氏は「こういったプロジェクトによって熱帯雨林における違法伐採といった問題を根絶させていきたい。また、発表を通じて自然保護といった分野についてのビジネスも拡大できることを期待している」と述べた。

  • 執行役副社長アリステア・ドーマー氏

    オンライン会見に出席した日立の執行役副社長 アリステア・ドーマー氏