【サーキュラーエコノミ―】で重要な役割担う化学業界 三井化学社長が重視する「自由」の意味

「社員との対話を通じ、会社が変わる手応えを感じています」

三井化学社長 橋本 修

「自由に発想でき、自由にモノを言えて、自由に動ける。特に、われわれがこれからやろうとしていることは、ベンチから指示を出す〝野球〟型ではなく、方向性は出すが、ゲームメイキングは現場でやる〝サッカー〟型の事業。自由であることは一番のベースになると思っています」(三井化学社長・橋本修氏)

 今年6月、長期経営計画『VISION2030』を発表した三井化学。2030年に目指しているのは「化学にこだわって社会課題を解決」し、「サステナブルな社会を実現」すること。

 変革期の今、明確なゴールは存在しない。「仮説検証を繰り返し、色々なことを試しながらゴールに向かう。そのためにも、自分たちの専門性を出して、実際に動きながらゴールに向かうことが必要」と現場の主体性が重要と語る。

 そこで今、取り組んでいるのが、社員から『VISION2030』について質問を受け、橋本氏が直接回答をするオンライン対話。

「現時点では方向性のみで、具体的な回答をすべて出しているわけではない。自分たちで考えてもらう」狙いがある。こうした対話から「若手が活き活きしている」と手応えを感じている。

 三井化学の業績は好調だ。2022年3月期決算は売上高1兆4900億円、営業利益1390億円を見込む。特に、成長3領域と位置付けるヘルスケア/フード&パッケージング/モビリティの3事業だけで「今期、1000億円近い営業利益が出そうな状況」にある。

 高付加価値事業への転換が進んでいるが、数年前までは、フェノール、PTA、ウレタンなど大型市況製品が赤字3事業として重くのしかかっていた。

 そうした中、14年に構造改革を進めて損失を出し切ると、田中稔一氏が社長を退任。会長ポストをなくし、相談役として社長の淡輪敏氏をサポートする体制に移行した。この決断は、社員の意識改革を促すメッセージでもあった。バトンを受けた淡輪氏は構造改革をやり遂げ、同時に新規事業を育成。そして、淡輪社長時代、次期中計策定に携わった橋本氏が20年4月から経営のカジ取りを担う。

 改革を経て成長軌道に乗る三井化学。橋本氏が目指しているのは「強いだけでなく、いい会社」になること。「10年先も認めてもらえる付加価値の提供」に向け、邁進する。 (北川記)

【100年企業の改革】三菱マテリアル

はしもと・おさむ

1963年10月生まれ。87年北海道大学法学部卒業後、三井石油化学工業(現三井化学)入社。2014年理事経営企画部長、15年執行役員、17年常務執行役員ヘルスケア事業本部長、18年取締役常務執行役員、19年4月取締役専務執行役員、20年4月代表取締役社長執行役員に就任。