【半導体受託生産】世界最大手・台湾TSMCが熊本に新工場建設へ

「海外企業を誘致するより…」という声も聞かれる中で

 

 台湾の半導体受託生産世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が、熊本に半導体の新工場を建設する方向で調整を進めていることが明らかになった。

 ソニーグループやデンソーも加わる予定とされるが、新工場建設には数千億円単位の巨額投資が必要だ。長期化する米中ハイテク覇権争いや深刻な半導体不足など、半導体のサプライチェーン(供給網)構築は大きな課題。そのため、経済安全保障の観点から、日本政府が半分を支援する可能性もあるという。

 今年3月には、すでにTSMCが日本に子会社を設立。日本に研究開発の拠点を設立することを決めた。日本には半導体関連の部材や装置など、幅広い技術を持った企業が多く、新工場を建設することによって、日台連合で半導体産業の活性化を狙っているようだ。

 今年に入って、世界的な半導体不足により、自動車や家電製品が減産を余儀なくされた。半導体各社は10年以上前から自社の生産設備を軽くして、生産をファウンドリー(受託生産)に委託するモデルを推進。そのため、自社での急な生産増には限界があるのだ。

 また、ファウンドリービジネスは規模勝負でもあるため、寡占化が進み、現在は、台湾TSMC、台湾UMC(聯華電子)、米グローバルファウンドリーズの実質3社で世界の半導体生産を支えていると言っても過言ではない。

 そういう中で、日本政府は安定した半導体供給体制を整えるため、今回のTSMC誘致に動いた。ある経産省幹部は「海外の先端ファウンドリーの誘致を通じた日本企業との共同開発・生産など、他国に匹敵する大胆な支援措置が必要」と意気込む。

 しかし、某経済人は「海外の企業を誘致するよりも、国産の半導体を育てることの方が大事ではないか」と語る。

 「半導体は産業のコメ」と言われるように、半導体は産業競争力や国の安全保障とも密接に絡んでくる。足元の半導体確保も大事だが、中長期的に日本の半導体産業をどう育成するかも大事。米中対立が長期化する中、今は日本の中長期的な半導体戦略が問われている。

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