【原油・天然ガス高騰!】資源・エネルギー不足でインフレ懸念も

家計を圧迫する懸念も

「今年は天然ガスや原油が明らかな資源バブルになっている。コロナ禍で世界的に自粛していた経済が再開し、エネルギー需要は高まっているのに、産油国が増産を見送るなど、供給が増えないため、今の状況はしばらく続きそうだ」とは、ある商社関係者の弁。

 原油や天然ガスなどの資源価格が軒並み高騰している。10月11日時点の原油相場は、ブレント原油で1バレル=約83㌦、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油で約80㌦と、約7年ぶりの高値水準。レギュラーガソリンの全国平均価格は160円台と3年ぶりの高値水準にあり、家計を圧迫する懸念も出ている。

 原油価格上昇の背景にあるのが、欧州での天然ガス価格の高騰。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査では、「中国、韓国を中心とした北東アジア地域や欧州地域においてLNG(液化天然ガス)需要が高まり続けていることや、米国でのハリケーン上陸による供給障害などが高騰の要因となっている」としている。

 また、「米国がトランプ政権からバイデン政権に替わり、シェール企業が生産を増やしていないという側面もある」(エネルギー業界関係者)という声も。

 シェール企業の採算ラインは40~50㌦前後と言われ、これまで原油価格が50㌦を超えると、シェールオイルの生産を増やして原油価格を一定数抑える役目を果たしてきた。しかし、原油価格が上昇する中、シェール企業各社が投資に慎重なのは、バイデン政権が脱炭素政策に舵を切ったため、「シェール企業が資金を投資に向けなくなった」(同)というのだ。

では、これから年末にかけて原油価格が90㌦、100㌦の水準まで高まることもあるのだろうか。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員の芥田知至氏は「最近の石炭や天然ガスの上がり方を見ていると、そういう局面が無いとは言えない」と指摘。一方で「冬にかけてコロナがまた感染拡大するとか、中国の不動産問題や米国の債務上限問題など、いくつかリスクファクターがあるので、これらが燻っている間は上がりにくいと思う」と語る。

 資源エネルギー庁によると、2018年の日本のエネルギー自給率は11・8%。原油や天然ガスなどのエネルギー源の大半を海外からの輸入に頼る日本にとって、資源価格が上がると、企業業績を圧迫してしまう。日常生活や経済活動を維持するために欠かせないエネルギーを安定的に確保するための根本的な解決には、中長期的に太陽光や原子力をも含めた国産エネルギーを増やすしかない。経済安全保障の観点も不可欠だ。

 緊急事態宣言が解除され、経済の回復が期待される矢先の資源価格上昇。しばらくは、不況下での物価高(スタグフレーション)が心配されるところだ。

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