電子情報技術産業協会(JEITA)は10月18日、10月19日~22日に開催する「CEATEC 2021 ONLINE」にて展示される技術・製品・サービスを対象とする「CEATEC AWARD 2021」の総務大臣賞、経済産業大臣賞ならびに部門賞の受賞企業を発表した。

CEATEC AWARD 2021は、今年で11回目を迎え、CEATEC 2021 ONLINEに展示される技術・製品・サービスの中から、出展者が事前に応募した出展品・案件について、MM総研の関口和一氏が委員長を務める「CEATEC AWARD 2021 審査委員会」が学術的・技術的観点、市場性や将来性などの観点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査・選考し、表彰するもの。

昨年のCEATEC AWARD 2020では富士通と理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」が総務大臣賞を受賞。東芝のマイクロRNA検出技術が経済産業大臣賞を受賞していた。

今年のCEATEC AWARD 2021では、総務大臣賞としてNECの「NEC が目指す未来のまち ~スーパーシティ~」が受賞した。

  • NEC

    CEATEC AWARD 2021の総務大臣賞はNECの「NEC が目指す未来のまち ~スーパーシティ~」が受賞した(出典:JEITA)

受賞したソリューションは、基盤ソフトウェア「FIWARE(ファイウェア)」やNEC独自のAI・生体認証技術などのアセットを組み合わせたクラウドサービス「NEC都市OS」。同ソリューションは、自治体が保有するデータをはじめとしたさまざまなデータと、住民に提供する行政サービスなどの効率的な連携を実現するサービス群を体系化して提供するというもの。

JEITAは選出理由を「スーパーシティ、スマートシティで想定される、先端的サービス提供に必要な共通機能を実現するクラウドサービス『都市OS』構想。その中で、観光、医療福祉、防災など複数分野にわたる行政サービスの効率化のためにデータの利活用や連携のために、『NEC都市OS』 では欧州で導入されているオープンソースプラットフォーム『FIWARE』をベースに同社のAI『NEC the WISE』を活用したデータ分析、顔認証をはじめとする生体認証を活用した個人認証、ID連携管理機能などを搭載し、開発コストを低減し短期間での実装を可能とする。地域間連携や共同運営など、地域の特性やニーズに合わせたシステム構築にも対応するなど、複数の自治体を支援して来た実績と同社の総合力を評価した」と説明した。

また、経済産業大臣賞には東芝の「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」が選出。同ソリューションは、軽量薄型、フレキシブル性を特徴とするもので、シリコン太陽電池の設置が困難だった都市部などの多様な場所への大幅な利用拡大を可能とし、独自の成膜方法の開発でフィルム型大面積ペロブスカイト太陽電池モジュールとして世界最高のエネルギー変換効率の15.1%を達成したとしている。

  • 経済産業大臣賞

    CEATEC AWARD 2021の経済産業大臣賞には東芝の「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」が選出された(出典:JEITA)

選出理由としては「軽量で柔軟性のあるフィルム型ペロブスカイト太陽電池に おいて、現在普及している多結晶シリコン型の太陽電池と同等の15.1%というエネルギー変換効率を実現。従来では強度不足で設置できなかった場所や曲面、窓など多様な場所に設置することで、再生可能エネルギーの比率を上げることが期待される。従来技術の2ステッププロセスから 1ステッププロセスとすることで、エネルギー効率の向上と生産プロセスの高速化に貢献し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の実用化の推進につながることが評価された。太陽光発電は、カーボンニュートラル社会の実現において不可欠な要素であるが、重量や形態の面から設置場所が限られていた。しかし、同技術には今後の幅広い実用性が期待され、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献するものとして評価された」とした。

各部門賞も同時に発表され、「Society 5.0 時代の新たな社会インフラカテゴリ」の「カーボンニュートラル部門」のグランプリには、経済産業大臣賞と同じく東芝のフィルム型ペロブスカイト太陽電池が選出され、準グランプリには京セラのIoT 技術と長崎大学の潮流発電技術の融合により、海洋データ収集に必要な電力を、ブイに搭載した潮流発電システムで賄うという「潮流発電システムで海の様々なデータを見える化 エナジーハーベスト型スマートブイ」が選ばれた。

  • 「Society 5.0 時代の新たな社会インフラカテゴリ」

    CEATEC AWARD 2021「Society 5.0 時代の新たな社会インフラカテゴリ」のグランプリ選出者(出典:JEITA)

「スーパーシティ/スマートシティ部門」では、グランプリに総務大臣賞と同じくNECが選出。準グランプリにはソフトバンクの、ビルや街のデータをリアルタイムに収集し活用するためのプラットフォーム「Smart City Platform」が選出された。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)部門」のグランプリには、SoundUD 推進コンソーシアムのさまざまな理由でスタジアムに行けないスポーツファンが、自宅から選手に声援を届けられるリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が選ばれた。

準グランプリには、京セラの独自の物体認識 AI 技術を搭載した、画像認識型「スマート無人レジシステム」が受賞した。

また、オープンカテゴリでは「ソリューション部門」のグランプリにソフトバンクの宇宙空間や成層圏から通信を提供する「Non-Terrestrial Network 構想」が選出。準グランプリに東芝デジタルソリューションの「量子暗号通信で安全なオンライン社会を実現」が選ばれた。

  • オープンカテゴリ」

    CEATEC AWARD 2021「オープンカテゴリ」のグランプリ選出者(出典:JEITA)

「要素技術・デバイス部門」のグランプリにはシャープのワイヤレスイヤホンスタイルの軽度・中等度難聴者向け耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」が選出。

準グランプリにはTDKの「VENUE:地磁気による屋内測位が働き方を変える」が選出。 同ソリューションは、地球上のあらゆる場所に、固有の強さを持つ地磁気を事前に測定しておくことで、スマートフォンの磁気センサデータを元に、最小1mの高精度で屋内の位置測位を行うものだと同社では説明している。

「スタートアップ&ユニバーシティ部門」のグランプリにはエイシングの極軽量/省電力エッジAIアルゴリズム「MST(Memory Saving Tree)」が選出。

準グランプリには、炎重工の「Marine Drone(純国産水上ドローン)-水上作業の自動化、デジタル化-」が選ばれた。

これらの受賞ソリューションは、10月19日~22日に開催する「CEATEC 2021 ONLINE」にて各展示ブースで出典される予定だ。