主演の吉沢については「僕もファンですね。一緒にやっていると楽しいですし、気持ちが飛んでくる俳優さんで、素晴らしいと思っています」と賛辞を惜しまない。「本番でお芝居が変わることもありますが、ちゃんとこちらの気持ちを受けてくれて、そこから発信してくれるというやりとりがとても心地いい時間です。また、これまで大河ドラマを引っ張ってきた吉沢亮くんの背中はとても大きいので、共演シーンではこっちのほうが助けられている部分が多いかなと思います」

伊藤博文役の山崎育三郎とは「最近は“育ちゃん”と呼ばせていただいています」と役柄同様に気のおけない存在になったよう。もともと長州藩士だった井上は、伊藤らと渡英。井上と伊藤が初登場したのは、6月6日に放送された第17回だった。

「僕と育三郎くんは初共演でしたが、共に大河初出演にして初登場のシーンが、2人で船の中で長々と英語をしゃべるシーンでした。だから2人で『大変だよね』と共感しながら撮影を進められたことが良かったです。そこで仲間意識が芽生えたし、再び登場するシーンの時も『良かったね、日本語で』と笑い合いました。2人で話すシーンはちょくちょくあるので、内に持つ親友感や、心の中での信頼関係が出せたらいいなと思っています」

また、「僕は伊藤の方が切れ者だと思っています」と言う福士。「井上の方が年上ですが、いい意味で信頼しつつ、井上を手玉に取れるのが伊藤博文という人物なのかなと。井上はそうは思ってないと思いつつ、真っ向勝負できるような関係性を2人で作っていけたらいいですね」ということで、2人のやりとりにも注目していきたい。

今後の見どころについては、現在につながる近代の物語ならではの醍醐味を感じているそうだ。「明治に入ると、途端に現在使われている言葉がふんだんに出てくるので、とにかく楽しいです。例えば、江戸時代の飛脚が紆余曲折を経て郵便になったり、紙幣を扱う会社が銀行になったりと、その過程をドラマ仕立てで観た時、日本の社会の基盤が作られたのが明治時代だとわかり、きっと視聴者の方々も見ていてすごく腑に落ちると思います。教科書で読むのとではまったく違うし、その過程は現代社会の縮図にも似ていて、全然遠くない時代だったんだなと改めて思いました。自分のひいじいちゃんは、こういう時代に生きていたのかと想像できる時代なので、 観ていてワクワクする瞬間が多いです」と笑顔を見せた。

今後もより良い未来に向けて奮闘していく栄一や井上、伊藤たちにエールを送っていきたい。

■福士誠治(ふくし・せいじ)
1983年6月3日生まれ、神奈川県出身。2002年にフジテレビ系ドラマ『ロング・ラブレター~漂流教室~』でドラマデビュー。2006年にNHKの連続テレビ小説『純情きらり』でヒロインの相手役を演じて注目される。2008年にNHKの土曜時代劇『オトコマエ!』で主演を務める。2021年、阪元裕吾監督作『ある用務員』で映画初主演。2018年に音楽家の濱田貴司とロックバンド「MISSION」を結成し、ボーカルを務める。

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