吉沢亮主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、渋沢栄一(吉沢)と共に大蔵省で働く政治家・井上馨役を演じている福士誠治。連続テレビ小説『純情きらり』(06)以降、数多くのNHK作品に出演してきた福士だが「大河ドラマは初めてだったので、出演できるという喜びが一番にありました」と胸を弾ませたそうだ。

  • 大河ドラマ『青天を衝け』で井上馨を演じている福士誠治

大河の現場について、福士は「それまでの歴史みたいなものを感じます。渋沢がここまでに至る時間や、スタッフさんたちとのグルーブ感みたいなものは、大河ドラマならではかと。世の中が変化する激動の時代の物語なので、台本を読む度に興奮していました」とうれしそうに語った。

幕末の志士であった井上については「ずっと武士として生きてきた人なので、洋服を着つつも、武士道みたいなところを忘れずにいる人」と解釈。声が大きいとされる井上だが「あまり裏のある人間にはしたくないので、意識的に大きくなってしまいます。もちろん政治家なので、言葉とは裏腹の信念や野心、バイタリティを隠し持っているとは思いますが、言葉を発した時の真っ直ぐさ、『これが俺の意見だ』という豪快さを見せたいと思いました」と言う。

すぐに怒る井上と栄一のコンビは「雷親父と避雷針」とも言われていたそう。福士も井上について「立ち位置としては、渋沢に無理難題をふっかける役で、『やれといったらやれるだろう』みたいな強引な人。鈍感で自分のペースを崩さない人だし、特に渋沢といると、自分が強いところを出すのかなと。だから演じる上では、こぢんまりはしたくないと思いました」と語る。

加えて、「とてもガサツでエネルギッシュと、いかにも自分本位な人に思えますが、自分が一番にならなきゃいけないというよりも、この世の中を少しでも良くするために渋沢の力を必要だときちんと感じている。自分の出世だけではなく、視野の広い部分も持っていた井上は、人間味があって面白い人。自分の器を理解した上で、勝負をしていくので、僕はとても魅力のある人物だと思います」と彼の人間力も感じている。

また、コロナ禍での撮影となり、「おしゃべりは控え目にしています」とのことだが、「これまでお芝居を一緒にやってきた知り合いの方もたくさんいますので、お話をさせていただくと気持ちはほぐれます」と現場は居心地が良さそう。「多数の方言が飛び交う現場なので、『方言でのアドリブができないね』という話題で盛り上がった記憶があります。演出の方から『ここからは自由にお願いします』と言われても、なかなか難しいので」とエピソードも披露した。

「方言は指導の方がレコーダーで録音してくれたものをいただいて、家で聞きながら練習します。僕の方言のレベルはそんなに難しい方ではなく、標準語プラス、語尾などが少し変わったりするだけですが、それでも『自由に』と言われると大変です。そういう時は方言指導の方に台詞を考えてもらいます。気を抜くと、この土地の言葉ではないものが出てきてしまうので、相談しつつやっています」