中国・恒大集団の経営危機は世界的金融危機に波及するか

格差是正に乗り出すも…

 中国不動産大手・恒大集団は総額33兆円という巨額の負債を抱え、経営危機に陥っている。

 9月20日にはデフォルト(債務不履行)への懸念が高まり、ニューヨークダウが614ドル下落、21日には日経平均株価が660円下落するなど、市場に緊張感が高まった。

 だが、恒大集団が23日を期日とする人民元建て社債の利払いを実施したことで当面のデフォルトリスクが後退、株価は一時的に落ち着きを取り戻している。

 しかし、危機が遠のいたわけではない。中国政府が恒大集団を救済するかどうかといった立場を明確にしておらず、依然破綻リスクが残っており、破綻すれば世界経済にその影響が波及しかねないからだ。

 中国は今、習近平政権が「共同富裕」というスローガンを掲げ、格差是正に乗り出している。その象徴が、価格高騰が続いてきた不動産業界への締め付け。富裕層などの投機が、不動産バブルを生んだと見ているためだ。

 そのため、中国政府としては恒大集団が危機に陥り、それが自国経済、世界経済に悪影響を与えるとしても表立って救済には動きづらい。第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は「ここで甘い顔を見せると、他の不動産大手も救わなければならなくなるため、安易な救済はしづらいだろう」と見る。

 どんな手立てが考えられるか。「今、恒大集団は資金確保に向けて事業や物件の売却を急いでいるが、このままでは市場が崩れてしまう。ある程度規模の大きい企業と合併させて、経営者のクビを切ることが考えられる」(熊野氏)。システムを生かして、経営者を切る形。

 9月27日には中国人民銀行(中央銀行)が「不動産市場の健全な発展を維持し、消費者の合法的権利を守る」と表明。市場の不安を抑えようとしている。

 中国は日本のバブル崩壊を徹底的に研究したとされるが、「私自身も日本のバブル崩壊を現場(日本銀行)で経験したが、やはり書物と現場とは違う。今、中国の当局は実感しているのでは」(熊野氏)。

 今は世界的金融危機にはつながらないという見方が強いが、経済がグローバルにつながっている今、予断を許さない。

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