甘いマスクと美声で、ミュージカル界のプリンスとして熱い視線を浴び、NHK連続テレビ小説『エール』(20年)や、映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(同)などで演じたひと癖ある役どころが好評を博した古川雄大。フジテレビの動画配信サービス・FODのドラマ『私の正しいお兄ちゃん』(15日0:00~配信、全8話)では、主演だけでなく主題歌も手がけている。

俳優や歌手としてますます守備範囲を広げてきた古川が「目の前に選択肢があったとき、攻めるほうを選びたい」と、飽くなき挑戦を語った――。

  • 『私の正しいお兄ちゃん』に主演する古川雄大 撮影:蔦野裕

    『私の正しいお兄ちゃん』に主演する古川雄大 撮影:蔦野裕

■大沢たかおの“攻める姿勢”に感化される

『エリザベート』(12年~)を皮切りに、『ロミオ&ジュリエット』(13年~)、『黒執事』(15年~)と、ミュージカル俳優としてのキャリアを着々と築いてきた古川だが、最初にその世界に飛び込んだときは、戸惑いが大きかったそうだ。

「『テニスの王子様』で舞台デビューさせていただきましたが、『テニミュ』とグランドミュージカルは少し違いがありました。なので、初めてミュージカルにトライしたときは、右も左も分からなくて。でも、悔しいからとにかく頑張っていったら、一歩ずつ前に進めていけた感じがします。もともと芸能活動を始めたときにはミュージカルをやっていくことになるとは思っていなかったので、何とか地道に頑張っていたら、だんだんいろいろな役をいただけるようになりました」

古川は、08年に大沢たかおが『ファントム』でミュージカルに初挑戦している姿を見て、大いに感化されたという。

「あそこまでキャリアや実績のある大沢さんが、まだ攻めている姿勢を間近で見て、本当に素敵だなと思いました。自分もいろんなことにチャレンジしていきたいので、やはり攻める姿勢は忘れたくないなと。本当に人生なんて、何が起こるか分からないと、常日頃から感じていますが、だからこそ、目の前のことに全力で取り組むことが大切で、一生懸命やった結果が、次につながると思っています」

■インパクトの強いキャラクター「素直にありがたい」

その後、舞台だけではなく、映画やドラマなどの映像作品でも快進撃が続いた。特に『エール』で演じた御手洗清太郎こと「ミュージックティーチャー」役や、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』での冷酷無比な男・クリストファー役など、かなりインパクトの強いキャラクターで作品に爪痕を残してきた。

個性的な役柄ばかりだが、「映像に出演させていただくなかで、たまたま頂いた役がインパクトの強い役ばかりでした。いろんな方向に振り切れたキャラクターだったので、僕は素直にありがたいなと思いながらやらせていただきました」と言う。ちなみに素顔の古川はとても物腰が穏やかで、そのギャップに驚いてしまった。