Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は10月15日、最大20kSPSで、高速機械動作に対応可能で低レイテンシのスループットを実現した3Dホール効果位置センサ「TMAG5170」を発表した。

同センサは、室温でのフルスケール総合誤差2.6%、ドリフトが総合誤差の3%という精度を実現しており、同社ではこの精度について、競合製品比で30%小さい値であり、交差軸磁界が存在する状況では競合デバイスより35%以上小さい誤差を実現可能だとしている。このため、出荷前のキャリブレーションやオフチップでの誤差補償が不要なことから、システムの設計と製造を簡素化できるとしている。

また、オフチップでの計算が不要であり、角度計算エンジン、測定の平均化、ゲイン補償とオフセット補償などの各種機能を統合し、センサと磁気素子の向きをフレキシブルに設定することができるという。センサが計算機能を内蔵することで、システムのプロセッサ負荷を最大25%低減し、同社の低消費電力MSP430マイコンのような汎用マイコン(MCU)と組み合わせることで、システム全体のコストを抑えることができるともしている。

さらに、通信、導通、内部信号パスに関するチェック機能など、独自のスマート診断機能に加え、外部電源、磁界、システム温度に関する構成可能な診断機能を搭載しており、安全性の向上に寄与することでチップ・レベルとシステム・レベルの両方で安全性の手法をカスタマイズし、長期的な信頼性の向上と設計コストの削減につなげることができるともしているほか、複数の動作モードを備えることで、システム性能を維持しながら、他のリニア3Dホール効果位置センサと比較して消費電力を70%以上削減でき、かつ各種モードを活用することで、システムの効率が最も重視されるバッテリ駆動デバイスや軽負荷モードにおいて、1SPS~20kSPSのサンプリング範囲で電力を最適化することが可能だという。

なお、同製品は、8ピン、4.9mm×3mmのVSSOP(超薄型シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ)で供給中であり、1000個受注時の単価(参考価格)は1.139ドルから設定されているという。