電通デジタルと電通は10月12日、Facebookが提供するプライバシー保護とクライアント企業のマーケティングニーズを両立したデータ統合基盤である、「Facebook Advanced Analytics(FBAA)」を活用したマーケティング施策の分析ソリューションを開発し、同日から提供を開始すると発表した。

FBAAでは広告の接触や動画視聴、バナークリックの有無など、これまでサードパーティCookie(以下、Cookie)では得られなかった情報が、利用者の許諾に基づいて国内のFacebook利用者2600万人およびInstagram3300万アカウントのデータに統合される。FBAAのアウトプットデータは個人の特定につながらないように設計されているため、電通が保有するテレビ視聴データや位置情報データを含むPeople Driven DMPのデータをはじめ、購買データやクライアント企業のファーストパーティデータを、プライバシーが保全された状態のまま利用可能なのだという。

これによって、これまではブラウザごとにデータを取得するCookieでは分断されがちであった情報を、「人」を起点に統合できるようになる。その結果として、同社はテレビCMからFacebook/Instagram広告、来店、購買、およびリピートまで、マーケティングニーズに沿った「オンオフ施策を横断した柔軟な分析」「精緻な効果の測定」と、それに伴う「顧客体験の設計」「メディアプランニング」を、統合的かつ継続的に実行可能になったとしている。

  • FBAAを活用した分析ソリューションの概要図

FBAAを活用したオンオフ統合分析ソリューションメニューとして、電通デジタルは5つのメニューを提供する。1つ目はテレビCMやデジタル広告、デジタルOOH(Out Of Home)の重複状況ごとのリーチ&フリークエンシーと、測定されたKPIに対する純増効果の測定である。2つ目はテレビCMやデジタル広告のKPIを最大化するための最適な予算配分の算出だ。そして3つ目がインストアの購買起点PDCAである。このメニューでは、FacebookまたはInstagram広告の接触者に応じてコンビニエンスストアやドラッグストアの購買状況を掛け合わせることで、間口と奥行の純増効果を測定する。

4つ目のメニューは大規模シングルソースパネル分析である。広告接触と、Webの来訪や実店舗への来店など、従来はデータ統合が困難であった取得経路の異なるデータソースについて、「人」を起点に統合して大規模なパネルデータとしてWeb接触後の購買の可視化に取り組む。5つ目はFBAAの強みを生かしたアドホック分析だ。クライアント企業のビジネス要件に応じた個別の目的に沿って分析を実施するという。

  • FBAAを活用する3つのメリット

昨今のマーケティング施策においては、個人のプライバシー保護の観点から、個人の許諾が不明瞭のままデータが流通する懸念があるCookieを代替する手法が模索されている。一方で、Facebookなどのプラットフォームにおいては、事前に利用者から許諾を得ることによって日本の個人情報保護法に準拠しながらデータを統合できれば、プライバシーを保護した上でより便益のあるマーケティング施策へと進化できる可能性があるとして、検討が進められている。

そこで、電通デジタルおよび電通は従前よりこの可能性に着目し、各プラットフォームより提供される「Data Clean Room」を活用したソリューションの開発を進めていたという。その一環として2018年からFacebookよりライセンスの提供を受け、FBAAの活用に取り組んできたとのことだ。