ランキングの前に、1987年~現在まで(ロン・ウッド後期)ってどんな時期?

「悪かったな、ミック」「いいんだよ、キース」と、こんな会話があったかどうかは知りませんが、ロンの後輩力のおかげもあってか、2人の仲も復調。ツアーでの飛行機移動がしんどくなったビルが1993年に脱退してしまうものの、バンドは再び転がりはじめます。「ストーンズって、まだやってんのかよ」的な冷笑を投げかけていた人も、さすがにこの頃になると、ちょっとこいつらマジでパねえ的な視線に変わってきます。そして『ア・ビガー・バン』 (2005年)の頃には、キースがミックの家に泊まり込み、曲作りをするようになります。まるで60年代にオールダムに閉じ込められた台所で「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ (涙あふれて) 」を作曲したときのように。

原点にもどって、音楽活動にいそしむ2人に、「チャーリーの癌」という信じられない一報が届くのでした。これまでメンバーの死、殺人事件、ドラッグによるグダグダとそれにともなう裁判、キースの骨折(木登りをしていて、落下した)などなど、かずかずの困難をはねのけてきたストーンズでしたが病魔、それも癌という、史上最悪の殺し屋に目をつけられてしまったのでした。このときは、チャーリーの癌は小康状態になり、その後も精力的に活動していましたが、2021年8月24日、チャーリーは死去しました。それでもメンバーたちは、新たにツアーを開始したのです(おわり、でもストーンズはまだまだつづく)。

トップ3から発表します! この3曲です!

1位:「スローで行こう」/『ア・ビガー・バン』 (2005年):68票
2位:「アイ・ガッタ・ゴー」/ 『ブルー&ロンサム』 (2016年):63票
3位:「ミックスト・エモーションズ」/『スティール・ホイールズ』 (1989年):54票
※n数=537

不仲時代は別々に曲を作っていたのが嘘のように、2人共作している「スローで行こう」が1位でした。そして、この中で特筆すべきは、3位の「ミックスト・エモーションズ」かと。ミック、キースの雪解け曲で、メンバーが仲良さそうにしているPVを見て、ストーンズファンはホッとしたものです。昔と比べて曲がどうのこうのと言う人もいますが、でも続けてくれることがね、ほんとありがたい。

3位の「ミックスト・エモーションズ」 (1989年)。恨み骨髄な時期を越えて、ニコニコな演奏シーンにめっちゃ癒やされます。実際、この後も精力的に活動してるわけですしね。解散するより、こんな姿を見せてくれるほうが何倍いいかわかりません。ロックバンドの円熟期として、こういう姿があっていいじゃないか

4位以下も発表します!

4位:「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」/『ブルー&ロンサム』 (2016年):53票
5位:「スリッピング・アウェイ」/『スティール・ホイールズ』 (1989年):48票
6位:「オールモスト・ヒア・ユー・サイ」/『スティール・ホイールズ』 (1989年):47票
7位:「スルー・アンド・スルー」/『ヴードゥー・ラウンジ』(1994年):45票
8位:「ブルー・アンド・ロンサム」/『ブルー&ロンサム』 (2016年):44票
9位:「Oh No、ノット・ユー・アゲイン」/『ア・ビガー・バン』 (2005年):38票
10位:「ブラインデッド・バイ・レインボウズ」/『ヴードゥー・ラウンジ』(1994年):35票
※n数=537

4位の「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」は、ツェッペリンもカバーしたオーティス・ラッシュの名曲ですが、このストーンズバージョンでは、なんとクラプトンが共演しています。偶然、隣のスタジオで作業していたので、「ちょっと演っていけよ」と言われ流れで弾いたものだそう。挨拶代わりにこんなの弾いちゃうんだから、ほんとにすごい。ちなみにストーンズとクラプトンの共演で有名なのは、1970年のキースの誕生日に演奏した「ブラウン・シュガー」。下記においておきますので、ぜひご一聴を。

「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」(2016年)。1:48あたり、ミックの「Yeah! Go Eric!(よし! エリックいっちょかませ!)」という声のあとからクラプトンのソロが始まる展開にニヤニヤしてしまいます

「ブラウン・シュガー」(1970年)。時系列はおかしくなりますが、お互いにバリバリの頃に共演したもの。クラプトンのスライド・ギターがエグいこと、この上ない。「ゴキゲンな演奏」とはまさにこのこと

この時期、アルバム単位でどれか一枚と言われたら

チャーリーが参加した、最後のオリジナル・アルバム『ブルー&ロンサム』 です。聞きやすい大人な演奏なんかじゃなく、ミックのグイグイくるボーカルと迫力のブルースハープ、キースのゴリゴリしたギターが全面的にフィーチャーされた、極めて荒々しいプレイが聴けます。たったの3日間で録音されたそうですが、未だにこれだけの演奏がスッとできるって、もう信じられない。

  • 『ブルー&ロンサム』(ユニバーサル ミュージック)。ここ最近のストーンズはどうもなぁ、というあなた! このアルバムだけは聴いてほしい!