いろんな人の気持ちに寄り添える亜哉子だが、 中でも印象的だったシーンは、新次(浅野忠信)や亮(永瀬廉)を案じて、永浦家が相談に乗るシーンだと言う。

「新次さんや亮くん一家を、私たち永浦家がみんなで心配するシーンですが、みんなで前に進みたいという気持ちが感じられるシーンで、好きでした。自分たち家族のことだけじゃなくて、同じ気持ちで問題と向き合おうとする永浦家のみんなって素晴らしいと思いました。その後、亜哉子が学校の先生を辞めた理由を物語るシーンの撮影もありましたが、そのシーンも私にとっては忘れられないシーンになったと思います。あとは、おじいちゃん(藤竜也)がおばあちゃん(竹下景子)の思い出話を語るシーンなど、何気ないシーンも好きです」

ヒロインを務める清原果耶の印象については「しっかりと主役として現場を引っ張っていて、モネのことを一番理解しているのは当然ながら果耶ちゃんだし、いつも的確に表現していて素晴らしいなあと思っています」と述べ、「やはり現場では、モネと未知(蒔田彩珠)に学べという感じです」と娘役の2人を称える。

さらに「自然体という言葉を使うのは嫌なんですが、2人の演技は素のままだというのではなくて、にじみ出るような表現の仕方をするというか、とにかく素晴らしいです。親子でいろんな話をするシーンがありますから、図らずも子どもたちが強い言葉を発するシーンなどもあるんです。そのような場面でも、伝えるために表現するのではない表現というか、自然なんです。役と一体化している感覚がより強く感じて、素晴らしかった」と絶賛する。

これだけキャリアを重ねても、若い俳優陣にも謙虚にリスペクトの眼差しを向けられる鈴木こそが素敵だと思うが、その姿勢ゆえに彼女は、今の確固たる実力派女優という地位を築けたのかもしれない。今後の「気仙沼編」で、さらに永浦家のドラマが深掘りされていくと思うので、大いに期待したい。

■鈴木京香
1968年5月31日生まれ、宮城県出身。1991年、NHK連続テレビ小説『君の名は』のヒロインに抜擢され一躍脚光を浴びる。その後、『わろてんか』(17)にも出演。そのほか、ドラマの近作は『行列の女神~らーめん才遊記~』(20)、『共演NG』(20)、『死との約束』(21)、『ライオンのおやつ』(21)など。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22)にも出演予定。主な映画出演作は『39 刑法第三十九条』(99)、『竜馬の妻とその夫と愛人』(02)、『血と骨』(04)、『清須会議』(13)など。

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