Intelは9月24日(米国時間)、アリゾナ州チャンドラーにある同社のOcotillo(オコティロ)キャンパスにて2つの新たな最先端ファブ建設に着手したと発表した。政府高官やコミュニティリーダーが出席した起工式典で、同社CEOのPat Gelsinger氏は、アリゾナ州での最大規模となる民間投資の半導体ファブ建設開始を祝い、米国が半導体で世界のリーダーシップを握るための投資に対する同社の取り組みを改めて表明した。

IntelのOcotilloキャンパスにFab 52とFab 62という名前の2つの新しい半導体製造棟が追加されることで、同キャンパスには合計6つのファブが収容されることになる。この新たな投資により、3000人を超える直接雇用と3000人の建設関連雇用が創出され、地域社会で推定15000人の間接雇用が生まれるという。2024年の稼働予定となっている新ファブは、新しいRibbon FET(一般にはGate-All-Aroundと呼ばれるトランジスタ構造)とPower Via(電源回路網を基板裏面に配置する構造)を新たに採用した「Intel 20A」を含む、Intelの最先端のプロセステクノロジーを製造するとしている。

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    アリゾナ州でのFab 52/62の起工式に立ち会った(左から)Intel SVPのKeyvan Esfarjani氏、Intel CEOのPat Gelsinger氏、アリゾナ州知事のDoug Ducey氏 (出所:Intel)

Gelsinger CEOは、起工式典で「今回の200億ドルを投じつ工場建設により、40年以上前にアリゾナに製造拠点を開設して以来、その投資総額は500億ドルを超えることになる。Intelは、米国を拠点とする唯一の最先端のチップメーカーとして、米国が半導体のリーダーシップを取り戻すのを支援することに取り組んでいく」と述べた。

なお、Intel Foundry Services(IFS)プレジデントに指名されたRandhir Thakur(ランディル・タクール)氏は、9月24日付でIntelのWebサイトに「地理的に多様なサプライチェーンを構築する時が来た」と題する寄稿をし、「アリゾナの2つの新しいファブは、Intel製品に対する需要の高まりをサポートするだけでなく、最近発表されたIFSにコミットされた生産能力も提供していく。IFSは世界中のファウンドリの顧客のニーズに応えようとしているが、多くの顧客は半導体サプライチェーンの地理的バランスを求めている」と述べているほか、「Intelは、米国への継続的な投資を計画しているが、競争の場を平準化するための政府の援助なしにはそれを行うことはできない。米国政府が自国の競争力を強化し、高度な半導体製造と研究開発に投資することを目的とした超党派の法案を連邦議会が可決しバイデン大統領に送るよう要請する」とも述べている。