【外務省】経産省との主導権争いで菅義偉首相の退陣嘆く

霞が関で、菅義偉首相の退陣をもっとも嘆いているのが外務省だ。安倍晋三政権で続いた経済産業省出身官僚を中心とした外交からの転換を目指し、菅官房長官時代に秘書官として信頼関係を築いた市川恵一北米局長を中心とした「菅シフト人事」(外務省幹部)を展開。

 菅氏も、米国を中心に国際的な対中包囲網づくりを進めるという同省の基本方針を深く理解するようになり、首脳会談などでは「省が用意したシナリオ通りに首相が動くようになった」(同)と手ごたえを感じていた。

 別の幹部は「菅さんは支持率が乱高下して苦しい時期でも、外遊にいくと不思議と元気になった。本人は『年齢の近いバイデン米大統領と特に話がはずむ』と喜んでいたので、こちらも仕事がしやすかった」と振り返る。

 悲願の国家安全保障局長のポストにも、菅首相は秋葉剛男外務事務次官の横滑りを容認。外交と安全保障の両面で、外務省が霞が関の主導権を完全に奪い返したと喜んでいた。

 突然の首相引退劇に、同省の現役局長は「秋の総裁選を乗り越え、今後少なくとも3年は菅首相のつもりだったが、一から官邸との関係を作り直さなければならない」と肩を落とす。後任を選ぶ自民党総裁選では、外相を経験した岸田文雄前自民党政調会長と河野太郎ワクチン担当相がしのぎを削っている。

 省内では「外務官僚の意見をしっかり聞いてくれた岸田氏と、ハードな外遊日程を組むよう強圧的に求めていた河野氏では、国のトップとして仕える場合の『疲労度』が全然違うだろう」などと戦々恐々としている。

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