南海電気鉄道は、加太さかな線(加太線)の新たな観光列車「めでたいでんしゃ かしら」の報道関係者向け試乗会・お披露目会を9月17日に実施した。試乗会で和歌山市駅から加太駅まで往復し、加太駅でのお披露目会にて外観・車内が公開された。

  • 「めでたいでんしゃ」の4編成目となる「めでたいでんしゃ かしら」が報道関係者らに公開された

南海電鉄は2014(平成26)年から、加太観光協会・磯の浦観光協会と共同で加太線沿線の魅力を発信する「加太さかな線プロジェクト」を展開している。その一環で、2016(平成28)年から7100系を改造した観光列車「めでたいでんしゃ」を運行。新たに登場する「めでたいでんしゃ かしら」は4編成目となる。

現在、加太さかな線ではピンク色の「めでたいでんしゃ さち」(母)、水色の「めでたいでんしゃ かい」(父)、赤色の「めでたいでんしゃ なな」(こども)が運行されている。今回デビューする「めでたいでんしゃ かしら」は、長い冒険から戻ってきた「さち」の兄という設定。2両編成の7100系(7195編成)を改造した。

  • 「めでたいでんしゃ かしら」は黒色を基調に、加太の鯛のうろこをイメージしたデザイン

ネーミングとなった「かしら」は、縁起物である「尾頭(おかしら)付きの鯛」と、船の船長やリーダーを意味する「お頭(かしら)」に由来する。加太にまつわるお宝や「かしら」の旅仲間が好きな音楽などの要素を取り入れた車両となった。

外観は従来の「めでたいでんしゃ」と異なり、冒険船をイメージした黒色を基調としている。加太の鯛をイメージした独特のうろこ柄も特徴となっている。車内は「伝説・宝・冒険・音楽」をコンセプトに、お宝や音楽に関するアイテムが散りばめられ、冒険船に乗り込んだような「わくわく感」を楽しめる。

  • ロングシートの車内。さまざまなしかけも隠されている

  • 扉の左側にあるマークはHYDEさんのロゴマーク

  • 音符型の吊り革と、壁にある「加太線7駅のご利益マーク」

  • 「加太線7駅のご利益マーク」は車内に隠されている

  • 迷路の模様をした座席シート

  • ピアノの模様の座席シートもある

「めでたいでんしゃ かしら」に乗車したら、ドア横の壁にある「加太線7駅のご利益マーク」に注目したい。ヒントを手がかりに、車内でご利益マークを探すのだが、これが意外と難しい。いずれにせよ、探索を通じて「めでたいでんしゃ かしら」の魅力に自然と触れられるしくみとなっている。なお、車内のデザインは基本的に各車共通とのこと。

座席シートは宝探しをイメージした迷路柄やコンパス柄を基本としつつ、一部は音楽好きな旅仲間のためにピアノ柄となっている。扉は冒険船をイメージしたさまざまなデザインが施されている。扉の窓の前に立つと海賊の姿に変身できるステッカーも見逃せないポイント。吊り革は魚型や鍵型、音符型があり、吊り革ホルダーには深海の生き物たちがデザインされている。

  • ドア横にあるどこかレトロな「かしら冒険日記」

  • 扉の窓にあるステッカー。記念撮影も可能

  • ロールカーテンにもユーモラスなデザインが施されている

中吊りは海賊船の帆をイメージし、伝説の「めでたいでんしゃ」マークをデザイン。冒険を想起させる装飾となった。車内のロールカーテンには、楽しく演奏する旅仲間などユーモラスなデザインが施されている。

「めでたいでんしゃ かしら」の最大の特徴は、和歌山市出身のアーティスト、HYDEさんとのコラボレーションであること。HYDEさんのシルエットやロゴマークも車内に隠されている。HYDEさんから提供されたギターピックもあるとのことなので、ぜひ探して発見してほしい。

  • 中吊りは海賊船の帆をイメージ

  • 床面にも素敵なしかけが

  • 加太さかな線の終着駅、加太駅

「めでたいでんしゃ かしら」は9月18日から加太さかな線で運行開始した。和歌山市~加太間を中心に、和歌山港線(和歌山市~和歌山港線)で運行される場合もある。南海電鉄のサイトにて、「かしら」を含む「めでたいでんしゃ」4編成の運行ダイヤを確認できる。