各食品メーカーが出している合わせ調味料がマイブームとなっている。よくスーパーなどに並んでいる「◯◯の素」のことで、「Cook Do」などがその代表例だろう。

今さらではあるが、コロナ禍で自炊する機会が爆発的に増え、もはや料理がマンネリ化していた今、こんなにも簡単に美味しい料理作りをサポートしてくれる合わせ調味料の存在は本当にありがたい限りである。

そしてこれまた今さらだが、なんとなく目新しい商品につい惹かれてしまい、定番の王道系調味料をまだ使っていなかったことに気付いた。例えば丸美屋の「麻婆豆腐の素」。このクラシックを通らずして、合わせ調味料やインスタント食品は語れないだろう。

というわけで、いざ実食。

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半世紀の歴史を持つ丸美屋の麻婆豆腐。そのお味は……

今回用意したのは、丸美屋の「麻婆春雨」と「麻婆豆腐の素」の2種類。どちらも中辛をチョイスしてみた。パッケージにもデザインされているように、麻婆豆腐のほうはなんと今年で発売開始から50年になるという。いや、スゴすぎるでしょ。

その半世紀の歴史に敬意を評し、さっそく麻婆豆腐から作っていこう。

用意する材料は……

  • 豆腐一丁(350~450グラム)

……のみ。あれっ、ひき肉とかいらないの? そういうものなのかな。

箱をパカッと空けてみると、中身はこんな感じ。んん?、なんじゃこりゃ。

ひとつは麻婆豆腐のタレで、中にはひき肉も入っているようだ。もうひとつの白い粉は「トロミ粉(ねぎ入り)」と書かれている。あ~なるほど、麻婆豆腐にトロミをつける片栗粉の役割ね。ちなみに、3人前が2パックずつ入っているので、計6人前作れる計算になる。

では改めて、作業に入ろう。

まずはさっそくトロミ粉を大さじ2杯の水で溶き、「トロミ粉液」を作る、っと。

そして麻婆豆腐の素(1回分)と水180ミリリットル、切った豆腐をフライパンに入れて火をつけ、軽く混ぜながらひと煮立ちさせる、か。結構、一気にいっちゃう感じなんだな。

じゃあ、まずは麻婆豆腐の素を……

おっ、本当にひき肉が入っている。ここに豆腐も入れて、着火。かき混ぜながら煮立つまで火を入れる。

いい感じだろう。そうしたら一度火を止め、作っておいた「トロミ粉液」を投入。一気に入れず、少しずつ回すように入れていくのがポイントっぽい。

全体と混ぜ合わせたら、もう一度火をつけ、中火で全体を混ぜながら煮込み、トロみがついたら完成。こんなもんかな?

よし、これを皿に盛り付ければ……完成!! 豆腐だけでサッと出来上がるなんて……これは超 手軽で楽チン。いいねいいね!!

こうしてみると、見た目からも50年の歴史が感じられる、まさにクラシックな佇まい。もはや威厳すら感じられるのは筆者だけではあるまい。

さぁ、アツアツのうちにいっちゃいましょう。いただきます。パクッ。

おお、おおお……な……懐かしい……!! 子どもの頃に食べていた麻婆豆腐って、確かにこんな感じだった気もする。中華というよりも“和テイスト”の麻婆豆腐とでも言おうか。

あまじょっぱさと鶏肉の風味、そしてしょうがやにんにくの香りが引き立っていて、とても食欲をそそる。中辛だが、辛さはあまり感じない。これぞ日本の食卓に寄り添ってきた味といったイメージだ。中華スープよりも、むしろ味噌汁に合う気さえする。

実際、丸美屋の「麻婆豆腐の素」が発売された1971年当時は、中華料理専門店に入らなければ、麻婆豆腐を楽しむことがほとんどできなかったそうだ。そんな中で丸美屋の「麻婆豆腐の素」が登場し、誰でも簡単に麻婆豆腐を作ることができるようになった。当然、大ヒットしたことは言うまでもない。

今でこそ四川料理ブームも経て、麻婆豆腐=シビ辛のイメージが浸透し、気軽に本格的な麻婆豆腐が味わえるようになっている。しかし、半世紀にわたって日本の食卓に寄り添ってきた丸美屋の麻婆豆腐は、本場の四川風麻婆豆腐とはまた違った、オリジナルの価値を携えているように感じる。

丸美屋の麻婆豆腐ならではの美味しさが、確かにここにある。

麻婆春雨はアレンジして実食!

さて、思いがけず深い話に入りかけてしまったが、これは「手抜きで美味しい自炊生活」を目的としたズボラ企画である。本来の趣旨に立ち返り、今度は「麻婆春雨」を作ってみよう。

うん、デザインもどことなくレトロで馴染み深い気がする。

用意する材料は……

  • 豚ひき肉(100グラム)
  • 長ねぎ中1本(60グラム)

下ごしらえは長ねぎをみじん切りにするだけ。こちらも手軽に作れそうだ。

おっと、アレンジでしめじを入れると旨みがアップすると書かれている。確か冷蔵庫にあったな。さっそく試してみよう。

えーと、調理の手順は、まずフライパンに油小さじ1を入れ、ひき肉を炒める。

このあたりで、しめじも入れておくか。

ひき肉に火が通ったら、水300ミリリットルと春雨、調味ソースの順に入れる。

そして、春雨をほぐしながら中火で3分間煮込む。

続いて、みじん切りにした長ねぎを投下。

ん? なんか長ねぎ多かったかな。まぁいいか。

これを中火で軽くまぜながらサッと煮込んだら出来上がり。

よし、美味そうだ。ただ、やっぱり和食に見えるのはもう気のせいではないだろう。

それでは、さっそくツルッといただきますか。ツルッ……

あっ、美味い。鶏ガラの中華スープのような味わいかな。春雨はやや太めでプツプツと弾力を感じる食感がナイス。ひき肉や長ねぎは春雨によく絡む。他にもキクラゲやタケノコも調味ソースの中に入っていたようだ。いろんな味、食感が綺麗に混じり合っていて、食べていてなんとなく楽しい。

しめじの風味とシャキシャキ食感も、ちゃんと麻婆春雨と調和しつつ存在感を発揮している。しめじの影響で一層“和”なテイストになった気がするが、これはこれで正解だろう。本当によく合っている。こちらも中辛と書かれているが、辛さはほとんど感じないので、好みで唐辛子やラー油で辛味をプラスしてもいいだろう。

合わせ調味料のレジェンド的存在である丸美屋。日本の食卓に寄り添ってきた歴史とプライド、存分に堪能させていただきました。あ~、美味しかった!!

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