「年金の満額」とは一般的に国民年金の老齢基礎年金の満額を指し、令和3年度価格では年額78万900円です。原則20歳から60歳までの480カ月、全額を支払いした場合の金額です。

◆年金の満額とはいくら? 国民年金の満額78万900円を指す

年金の満額とは一般的に国民年金の老齢基礎年金の満額、令和3年度価格では「78万900円」を指します。国民年金は、20歳から60歳までの国民が強制加入する制度で老齢、障害、死亡に備えた年金、一時金があり、その中で老齢基礎年金は受給する方が一番多い年金です。

平成16年の年金改正法で老齢基礎年金の基準額が78万900円になり、令和2年度は年金改定率が+0.1%だったので満額78万1700円でした。令和3年度の年金改定率が-0.1%となったため、満額は78万900円になりました。

年金改定率は、前年の賃金変動率、物価変動率、マクロ経済スライド調整率を加味した改定率です。

◆年金を満額で受給する条件とは?

老齢基礎年金の満額78万900円(令和3年度価格)は原則20歳から60歳までの480カ月(昭和16年4月1日以前生まれは、生年月日に応じて300から468カ月)、国民年金(令和3年度は月額1万6610円)を全額、支払いした場合の金額です。

厚生年金期間がある方は、自身の老齢基礎年金に上乗せされて老齢厚生年金が支給されます。

実は、老齢基礎年金が満額78万900円になる方は多くありません。20歳から就職するまで学生だった、会社員を退職した、昭和61年3月以前に会社員の配偶者(専業主婦)だった等で60歳までの間国民年金保険料を支払っていなかった期間がある方が多いのです。

◆厚生年金の満額はあるのか?

老齢厚生年金の場合は、平均標準報酬月額と厚生年金月数(勤務月数)に一定の乗率をかけて計算するので、個人ごとに年金額が異なります。「年金の満額」がひとりひとり異なるのです。

60歳以降70歳まで勤め続ければ、厚生年金加入になるので、退職して年金が再計算されるまで「その人の年金の満額」はわからないのです。

◆年金の満額についての勘違いとは?

年金の満額について勘違いしがちな部分を確認してみましょう。

昭和61年3月以前に会社員の配偶者(専業主婦)だった方が、任意加入して国民年金保険料を支払っていて振替加算がある場合、78万900円+振替加算額になります。これも「老齢基礎年金の満額」になります。

平成29年8月より、年金を受給するのに必要な資格期間(保険料納付済み+免除+合算対象期間)が10年あれば、老齢年金がもらえるようになりました。しかし、冒頭の説明の通り、10年では480カ月には満たないので、満額78万900円にはなりせん。10年保険料を納付していても、年額19万5225円です。

年金関係の手続きには、様々なものがありますが、届け出や手続きをすれば年金が満額の78万900円になるわけではありません。

たとえば「保険料免除制度」を利用した場合、免除率に応じてその期間は全額の2分の1から8分の7として年金額に反映されます。「猶予申請・学生納付特例」を利用した場合は、期間だけ年金受給資格期間に算入されますが、年金額には反映されません。つまりこのような期間があると、満額にはなりません。

※免除申請の承認を受けた時期が平成21年3月分までの場合は年金に反映される額が異なります。

◆年金を満額にするためには?

老齢基礎年金を満額78万900円にしたいなら、60歳以降の年金保険料の納付済み期間が480カ月になるまで(最長65歳まで)国民年金に任意加入する、10年以内の免除・猶予期間の年金保険料を追納する、2年以内の滞納期間があれば年金保険料を支払うなどの方法があります。

文:拝野 洋子(マネーガイド)

文=拝野 洋子(マネーガイド)