アユートは、Astell&Kernの最新ハイレゾプレーヤー「A&ultima SP2000T」を10月15日に発売する。AK初のクアッドDAC構成や、真空管アンプモードを含む“トリプルアンプシステム”を導入しているのが大きな特徴で、価格は32万9,980円。カラーはOnyx Black。

  • A&ultima SP2000T

    A&ultima SP2000T

AKハイレゾプレーヤーのフラッグシップライン「A&ultima」シリーズの第4弾モデル。同ブランドのオーディオ技術の集大成と位置づける従来の最上位機「SP2000」(実売429,980円前後)を進化させたのが今回のSP2000Tとなる。主な特徴は以下の通り。

  • 次世代アンプテクノロジー「トリプルアンプシステム」搭載
  • 真空管アンプでの2.5mm/3.5mm/4.4mm出力ジャック対応
  • Astell&Kern初のクアッドDAC構成による超高品質サウンド
  • 主要回路を一体化したサウンドソリューション「TERATON ALPHA」
  • トラック間で一貫した再生音量レベルを維持するリプレイゲイン機能
  • 2.4/5GHzのデュアルバンドWi-Fi対応
  • ノイズを最小限に抑える内部機構設計
  • A&ultima SP2000T

8月に海外市場で初めて披露され、今回、国内での発売日や価格、正式な仕様が決まったかたちだ。製品名末尾の「T」は、製品開発プロセスにおける設計アプローチと方向性を表したもので、想起させるキーワードとして「SP2000の真の理念の継承」(True)、「トリプルアンプシステム」(Triple)、「時代を超えた価値」(Timeless)、「真空管アンプ」(Tube)を挙げている。

トリプルアンプシステムでは、透明感のあるダイナミックなサウンドが特徴の「OP-AMP(オペアンプ)」、独特の温かみのある音楽的なサウンドが楽しめる「TUBE-AMP(真空管アンプ)」に加えて、両モードの利点を組み合わせて「音楽的なディテールを表現する」という、新開発の「HYBRID-AMP(ハイブリッドアンプ)」の3モードを用意。音楽の種類にあわせてモードを選んで切り替えられるようにした。

ポータブルに適したデュアルトライオード真空管「KORG Nutube」を搭載し、真空管ならではのサウンドを実現。Nutubeは約30,000時間の連続再生が可能で、トライオード真空管と同じ動作をするアノード・グリッド・フィラメント構造を採用している為、大幅な小型化と低消費電力化、倍音豊かなサウンドを実現する。

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    デュアルトライオード真空管「KORG Nutube」を搭載

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    本体上部のUIから、AMPモードや後述するリプレイゲイン機能などを操作できる

HYBRID-AMPモードでは、OP-AMPモードのサウンドをベースに、TUBE-AMPモードの「味わい深いウォームトーン」を加えたサウンドの組み合わせが楽しめるとしており、最適な比率を組み合わせた5つのパターンによって、ユーザーの好みに合わせたサウンド特性が選べるという。

本体には2.5mm/3.5mm/4.4mmのヘッドホン出力を備え、すべての出力で真空管サウンドを楽しめるようにした。出力とSN比は、アンバランスが3.0Vrmsで121dB、バランス時が6.0Vrmsで123dB(出力はいずれも負荷なしの数値)。

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    HYBRID-AMPモードの操作画面

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    本体上面に2.5mm/3.5mm/4.4mmのヘッドホン出力を搭載

SP2000Tでは、ESS製のDACチップ「ES9068AS」4基を搭載したクアッドDAC構成を、AKブランド製品として初めて採用(従来のSP2000は旭化成エレクトロニクス製「AK4499EQ」のデュアル構成)。1チャンネルあたり2基のDACで専用のデコードが行え、きめ細やかでバランスのとれた、サウンドの奥行きと空間のリアリティを追求している。最大384kHz/32bitのPCM再生や、DSD 22.4MHzのネイティブ再生が可能だ。

  • A&ultima SP2000T

    クアッドDAC構成の回路イメージ

既発売の「A&futura SE180」に装備している、主要回路を一体化したサウンドソリューション「TERATON ALPHA(テラトン・アルファ)」をSP2000Tにも採用。Astell&Kernが開発した技術で、効果的なパワーノイズ除去、効率的な電源管理、歪みを最小限まで抑えた増幅などによって原音に近い再生を追求している。

ほかにも、音量の異なる音源を同一の音量レベルに調整する新機能「ReplayGain(リプレイゲイン)」を搭載。192kHz/24bitまでの音源であれば、同機能によってトラック間の音量を自動的に調整でき、自分のプレイリストをシームレスに楽しめるとする。

IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠で2.4/5GHzデュアルバンド対応の無線LANを搭載。Open Appを介した音楽ストリーミングアプリで利用できるほか、SE180で採用している「AK File Drop」をSP2000Tにも搭載し、同じネットワーク上にあるPCやスマートフォン、FTPプログラムなどを使ってワイヤレスでファイル転送できるようにして、音楽ファイルを管理しやすくした。

Bluetooth機能も備え、対応コーデックはSBC、AAC、aptX HD、LDAC。SP2000TをBluetoothレシーバーとして使う「BT Sink」にも対応する。そのほか、AKの従来機種で採用している、独自のネットワークオーディオ再生「AK Connect」、動画ストリーミング機能「V-Link」、車で操作しやすい「カーモード」などが利用できる。

5型/1,980×1,080ドット(441PPI)のフルHD解像度のディスプレイを採用し、表示画質を向上(SP2000は5型/720×1,280ドット)。タッチ操作に対応する。本体素材はアルミニウム。SP2000からデザインを変更しており、背面の直線状のLEDの光り方によってAMPモードや、再生中の曲のビット深度などを表示するようにした。また、上面にはアンプの電源を入れると揺らめく繊細なデザインを採用している。

  • A&ultima SP2000T

    背面のデザイン。直線状の多色発光LEDを備える

  • A&ultima SP2000T

    背面LEDの光り方

本体には、外部からの小さな衝撃でも真空管からノイズが発生する現象(マイクロフォニックス)を最小限に抑える為の特殊な設計を採用。真空管の両面を柔軟なシリコンカバーで固定し、真空管をモジュール化してプリント基板と物理的に分離したほか、磁力でアンプを空中に浮かせる分離構造、導電性の高い超高純度銀メッキを施したシールド缶を採用した。

内蔵ストレージ容量は256GB。microSDカードスロットを1基備え、最大1TBまでのmicroSD/SDHC/SDXCカードが使える。対応ファイル形式はWAV/FLAC/MP3/WMA/OGG/APE/AAC/ALAC/AIFF/DFF/DSF/MQA。インタフェースはUSB Type-Cで、USB DAC機能やUSBオーディオ出力を備える。急速充電にも対応する。

  • A&ultima SP2000T

    側面に音量調節用のダイヤルを装備

容量4,200mAhのバッテリーを内蔵し、再生時間は約9時間(FLAC 44.1kHz/16bit、アンバランス出力、ボリューム50、OP-AMPモード時)。本体サイズは約141×78.1×17.5mm(縦×横×厚み)で、重さは約309g。

ベジタブルタンニングを施したBADALASSI CARLO製の天然皮革を使った専用リアルレザーケース(カラー:Napoli)のほか、保護シートやUSB Type-Cケーブルなどが付属する。

別売オプションの専用ケースも2種類用意。Minerva製ベジタブルタンニングレザーを使ったケース(Black)、Pueblo製ベジタブルタンニングレザーを使ったケース(Olive)で、価格は各14,980円。

  • A&ultima SP2000T

    付属の専用リアルレザーケース。ベジタブルタンニングを施したBADALASSI CARLO製の天然皮革を使っており、Napoliカラーを採用