小学生以下の子どもを持ちながら働く親御さんたちに知っていてほしいのが「子の看護休暇」です。これは、子どもが急に体調を崩したりけがをしたりした場合に仕事を抜け出して看病できる制度です。今回は子の看護休暇の取り方や時間単位での取得ができるのかなどについて解説します。

2021年1月に改正された「子の看護休暇・介護休暇」ですが、一体どのような内容になっているのでしょうか。時間単位で取得できるのかどうかや、対象となる子どもの年齢までご紹介していきます。

  • 子の看護休暇とは子どもがけがや病気をしたときに取得できる休暇

    子どものために「子の看護休暇」を取ってみましょう

子の看護休暇とは

「子の看護休暇」とは「小学校に入学する前の子どもを養育している労働者は、子どもが怪我や体調不良になったときの看護や子どもの予防接種や健康診断があるときに休暇が取れる」という制度です。

小学校に入る前の子どもはまだ幼く、目が離せない状態です。そのため、共働きの家庭でも、いつ幼稚園や保育園から子どものことで呼び出しがあってもいいように休暇が取れる制度が設けられました。

対象はほぼすべての労働者

「子の看護休暇」が取得できる対象者は、小学校に入学する前の子どもを育てているすべての労働者です。休暇の取得に関して男女は関係なく、共働きの家庭にはとても嬉しい制度になっています。

また、こちらの制度は雇用形態に関係なくすべての労働者が対象となるため契約社員やパートタイム、アルバイトでも利用できます。しかし、以下の場合は制度を利用できないので事前に確認しておきましょう。

「子の看護休暇」が取得できない労働者

・日雇い勤務の方

・1週間の所定労働日数が2日以下の方(労使協定により除外されている場合)

・雇用期間が6カ月に満たない方(労使協定により除外されている場合)

・時間単位の取得が困難と認められる業務に従事する方

子の看護休暇は何歳まで取得できる?

子どものいる労働者への支援制度はいくつかありますが、制度によって子どもの年齢制限が設けられています。

「子の看護休暇」が適用されるのは、小学生に上がる前の6歳までの子どもがいる場合です。歳の数え方は年度ごとで行いましょう。6歳の誕生日を含む年度の3月末日までになりますが、これは育児・介護休業法に定められた最低条件です。

そのため企業によっては6歳以降も子の看護休暇を認めている場合があります。企業によって少し違うので、ここが選ぶときのポイントになるでしょう。

子の看護休暇は年間で何日取得可能?

子の看護休暇で取得できるのは1年に5日間と定められています。もしも小学生に上がる前の子どもが2人いる場合は取得できる上限が10日間になります。しかし,子どもが3人になっても上限の10日間は変動しません。

1年が切り替わるタイミングは、企業が任意に決めることができます。就業規則に定めがない場合には4月1日から翌年3月31日ですので、企業の就業規則などに注目してみてください。

子の看護休暇は有給? 無給??

子の看護休暇をもらうとなると、給与は差し引かれるのかどうか気になる方も多いでしょう。

例えば「子どもが体調を崩すたびに駆けつけていたら来月の給与が少し減ってしまった」「休日が多い月に何度か子の看護休暇をとってしまい給与が心配」など休暇が取れても給与面で不安になるかもしれません。

子の看護休暇は法律上、給与面のことを明確にしていないため、有給にするか無休にするかは企業側の判断によります。

ただし、子の看護休暇は法律で定められているため「通常の欠勤」とは別の扱いをする必要があります。企業側は就業規則などに子の看護休暇の扱いを明記しておきましょう。

子の看護休暇を公務員が利用しやすい理由

公務員の場合、子の看護休暇はほぼ有給として扱われます。介護休暇などは有給扱いされないケースもありますが、子育てを支援する子の看護休暇に関しては有給として認められています。

  • 子の看護休暇とは子どもがけがや病気をしたときに取得できる休暇

    子の看護休暇が適用するか確認しておきましょう

2021年1月に改正された子の看護休暇の内容

「子の看護休暇」は2021年1月より子育てをする家庭に寄り添った制度へと改正されました。次に、新たに改正された注目すべき2つのポイントをご紹介します。

看護休暇取得が時間単位で可能に

まず、今までの子の看護休暇は1日または半日を単位とした休暇しか取ることができませんでした。しかし2021年1月の改正により時間単位での取得が可能になりました。

さらに1日4時間以下の労働者は半日での取得は認められていませんでしたが、こちらも時間単位の取得が可能になります。

すべての労働者が対象になった

2021年の改定によって、すべての労働者が子の看護休暇を利用できるようになりました。

以前の法律では1日4時間以内の労働者に対して子の看護休暇は設けていませんでしたが、時間単位の取得ができるようになり対象者の枠が広がりました。

  • 2021年1月に改正された部分をご紹介

    2021年1月にさらに利用しやすいように改正されました

子の看護休暇制度を導入する際に気を付けるべきポイント

法律で子の看護休暇を導入するように定められていますが、いざ企業側が導入する際にはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。

いくつか子の看護休暇について企業側が注意すべき点をまとめてみました。労働条件がよい企業は、その分アピールポイントが増え社員はもちろん、周りからの評価も得られますよ。

年度と取得日数について

厚生労働省が定める子の看護休暇の切り替わり時期について、通常は4月~翌年3月としています。しかし企業の会計年度などの関係もあることから1~12月などに変更も可能です。その場合には必ず就業規則にその旨を定めておきましょう。

取得できる時間単位について

法律の改正により時間単位での取得が可能となりました。そのため、時間単位なのか分単位なのか企業の就業規則によって決めておくようにするのがいいでしょう。

労働者側も企業の経理側もわかりやすく計算しやすいので事前に定めておきましょう。

時季変更権について

時季変更権とは、業務の忙しい時期や余裕のある時期などによって休暇取得の可否を調整できる企業側の権利です。

子の看護休暇については急を要する場合やあらかじめ予防接種の日が決まっている場合があるため時季変更権は適用されません。また企業側は子の看護休暇の申し出を拒否することはできないため、覚えておきましょう。

出勤率について

子の看護休暇は有給休暇の付与に関する出勤率の算定をする場合に、出勤数として数えなければいけないという決まりはありません。そのため1日丸ごと子の看護休暇を取得したときには出勤扱いすることも可能です。

  • 子の看護休暇制度を導入する際に気を付けるべきポイント

    企業側が導入する際に気を付けなければいけないこともあります

子の看護休暇導入で企業には助成金が

企業側が子の看護休暇を設けるメリットとしては、国から助成金が降りる可能性があるということです。

子育て支援制度を導入するといろいろな条件付きで助成金がもらえることが多く、社員のためだけではなく企業のためにもなるのです。助成金はいくらもらえるのかや、助成金が降りるくわしい条件などを確認していきましょう。

助成金はいくらもらえるの?

子の看護休暇を導入することで国からもらえる助成金は中小企業であれば制度導入時に285,000円(1事業主につき1回限り)、制度利用時に「1,000円×時間」です。

制度利用時に1,000円×時間分の助成金をもらうことできますが、1事業主で最大5人までという上限が設けられています。これは子の看護休暇で取得できる時間で計算すると8時間×5日分=40時間、40時間×5人分で1年度200時間までが上限です。

取得する人数に関してはもう1つ決まりがあり、1人目に係る支給申請日から3年以内に5人という制限が設けられています。

助成金が降りる条件と注意点

ただし助成金が下りるにはいくつかの条件がついています。まず厚生労働省が定めた条件としては「法律を上回る子の看護休暇制度を導入し、育児休業復帰後の労働者に利用させた場合」になります。

助成金がもらえるからといって子の看護休暇のみを設けても、すぐに助成金がもらえるわけではないのです。まずは社員に育児休業を取ってもらい、その後に子の看護休暇を利用してもらわないと支給対象では無くなってしまうため注意しましょう。

もう1つの条件は支給対象が中小企業のみという点です。そのため大きな企業でいくら法律を上回る子の看護休暇を設けたとしても助成金は1銭も入ってきません。

  • 企業が制度を導入すると助成金がもらえる可能性がある

    いくつかの条件を満たして導入すると企業に助成金が発生します


本記事でご紹介した「子の看護休暇・介護休暇」以外にも「パパ休暇」「パパ・ママ育休プラス」など働く親御さんを対象とした制度があります。

男性女性関係なく利用できるので共働きの家庭にこそ使ってほしい制度です。いろいろな制度を利用して仕事と育児のバランスを図ってみてくださいね。