[写真]=YONHAP NEWS/アフロ
◆東京五輪世代の活躍で国内リーグ首位を快走

 韓国勢で唯一、日本勢と同じグループステージに入らなかった昨季王者の蔚山現代。BGパトゥム・ユナイテッド、カヤFC、ベトテルFCと同居したグループは全勝で首位突破を決めた。6試合で13得点はセレッソ大阪とともに東地区1位通過チームで最少の数字だったが、失点数が東地区最少の1失点と堅実な戦いぶりが目立った。

 蔚山現代は現在Kリーグ1(1部)でも12チーム中1位。2005年シーズン以来となるリーグ優勝に向けて、ここまでの戦いぶりは順調と言える。

 ACLグループステージ終了後の初戦では昇格組の水原FCに2ー5というスコアで敗れたが、以降に行われた7試合は5勝2分けと無敗。とくに8月に行われた6試合では、そのすべてで複数得点をマークするなど得点力の高さも見せつけた。

 その中心にいるのが、東京オリンピック世代の選手たちだ。なかでも、FWイ・ドンジュンは持ち前のスピードと突破力を生かしてチーム最多得点を挙げる活躍。東京五輪で背番号10をつけたMFイ・ドンギョンは、利き足の左足から放つ強烈なミドルシュートやラストパスの精度がさえ渡る。

 元韓国代表MFイ・チョンヨンや昨季のACLで大会MVPに輝いたMFユン・ビッカラム、ジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリなど、中盤より前には経験豊富な実力者がそろうなか、イ・ドンジュンとイ・ドンギョンが蔚山現代で最も勢いのあるプレーヤーと言っていいだろう。

 FIFA Uー20 ワールドカップ ポーランド2019で準優勝したUー20韓国代表メンバーで、東京五輪では惜しくも落選を経験したFWオ・セフンも、彼ら同様に成長著しい選手の一人だ。

 193センチと恵まれた体格を生かしたポストプレーや空中戦を得意とするオ・セフンは、2019年12月の入隊から約1年半の兵役を終えて今年6月にチームに復帰。直後のACLグループステージでは途中出場がメインながらも3ゴール2アシストと結果を残し、今では1トップの定位置を確保しつつある。

 蔚山現代は開幕前に加入したばかりのオーストリア代表FWルーカス・ヒンテルゼーアが今夏にハノーファーへ移籍した。貴重な外国人選手を失った前線を憂慮する声もあるが、オ・セフンであればその穴を十分に埋められるという期待も寄せられている。

◆川崎Fとの相性は悪くないが、守備に一抹の不安

 攻撃陣の活躍が目立つ一方で、守備陣は失点の多さが悩みの種だ。蔚山現代は右からDFキム・テファン、DFキム・ギヒ、DFデイブ・ブルタイス、DFホン・チョルの4バックが鉄板の布陣で、左サイドバックでホン・チョルとDFソル・ヨンウが併用される以外にほとんど入れ替えはない。

 そんなディフェンスラインは、8月に行われたリーグ戦6試合で一度もクリーンシートを達成できず。とくに、直近の試合ではリードした後半中盤以降に失点するケースが多かった。

 一発勝負の決勝トーナメントでは、致命的なミスがそのまま敗退につながりかねない。それだけに、現役時代に“アジアのリベロ”と呼ばれた元韓国代表DFで、今季から指揮を執るホン・ミョンボ監督には守備の改善が求められる。

 決勝トーナメント1回戦では、同じくグループステージを全勝で勝ち上がった川崎フロンターレを、ホームの蔚山文殊サッカー競技場に迎える。川崎Fとは過去3大会(2014年、2018年、2019年)のグループステージで対戦しており、決勝トーナメントでの顔合わせは今回が初めて。通算対戦成績では蔚山現代が3勝2分け1敗と勝ち越していて、ホームでは3戦全勝としている。

 大会2連覇を目指す蔚山現代にとって最大の山場と言える川崎F戦。日韓の首位チーム同士が激突する注目のゲームで、蔚山現代がKリーグのプライドを懸けた戦いに挑む。

文=ピッチコミュニケーションズ