グーグルのプリン買収に対し、公取委が調査に乗り出す

米グーグルによるスマートフォン向け決済アプリベンチャー、pring(プリン、東京・港)の買収を巡り、公正取引委員会が独占禁止法上の観点から調査に乗り出し、市場や業界の関心を集めている。

 2017年に設立されたプリンの場合、売上高の規模は小さく、キャッシュレス決済市場でのシェアもわずかだ。このため、今回のM&Aは本来、独禁法上の届け出義務がない案件だが、公取委は買い手がグーグルであることを重視し職権で調査を進めることにしたという。

 それはグーグルが圧倒的なシェアを持つ検索サービスを起点にネット広告からアプリストア、スマホOS市場まで強大な影響力を持つ巨大プラットフォーマーだからだ。

 関係筋によると、公取委はグーグル製OSアンドロイドを搭載したスマホを使うユーザーの決済手段が縛られたり、プリンが持つ決済関連の顧客データを使ってグーグルのネット広告市場での優位がさらに高まったりする恐れがないかをチェックする意向という。

 公取委は経済のデジタル化に対応して19年に改定した企業結合審査の指針で、広告や決済、電子商取引(EC)のようにジャンルの異なるビジネス同士の結合がもたらす相乗効果も独禁法上の観点からチェックする考えを打ち出した。

 具体的には、巨大プラットフォーマーを念頭に、規模は小さくても、競合他社が持ち得ない重要なデータや技術を有する企業を買収する場合には、影響を詳細に分析する構えで、今回のプリン買収はそれに該当すると判断したとみられる。

 グーグル側も調査に協力する姿勢を示している模様で、業界では「プリン買収に待ったが掛かることはないだろう」(日本の大手IT幹部)との見方が大勢。ただ、巨大プラットフォーマーによる有力スタートアップのM&Aは今後も起きることが予想される。このため、業界や市場関係者は「公取委が競争環境にもたらす買収の影響をどう分析するか興味深い」などとして注視している。