日本語には「たずさえる」「しつらえる」「こしらえる」など、「える」が付く情感豊かな言葉がたくさんありますよね。

『呼び出された殺戮者』(ホビージャパン刊)など小説やコラムを手がける、作家の井戸正善(@Ido_Masa)さんのウィットに富んだ投稿が話題を呼んでいます。

「あつらえる」が若い子に通じないのではないかと言われたけれど、大丈夫。調べるなり人に聞くなりすれば良い。そうやって言葉を憶えていくものだよ。

ちなみに天使の一種の名前だよ。(@Ido_Masaより引用)

  • ※画像はイメージです

「そうやって憶えていくものだよ」と言いつつ、サラッと嘘を織り交ぜるオチに対し、リプライや引用ツイートは大喜利状態に。

「誤天使マチガエル」「ちなみに『あいまみえる』は縁結びの天使」「捕縛の天使『ツカマエル』」など、新手の天使が続々と誕生しました。さらに、「『こしらえる』と『しつらえる』も合わせて衣食住の三天使だったかと思います」など、教養を感じさせるユーモアが炸裂。

これに対し、「ふざけているようで、教養が無ければできない言葉遊びの数々……。読んでいてすごく楽しいです。たくさんの言葉を知っているって、こういう事がぱっとできるということ。豊か」というコメントも登場しました。

本当にその通りですね。「エール(’ēl)」は、ヘブライ語などのセム語派において「神」を指す語。そのため、「ミカエル」「ガブリエル」などヘブライ語由来の天使の名前は最後に「エル」が付いているのです。

そのことを知っていないと出てこないオチは、まさに“大人のユーモア”といえるでしょう。

このツイートをした作家の井戸正善さんに、投稿の経緯をうかがいました。

「天使の名前」、投稿者に聞いてみた

――「『あつらえる』が若い子に通じないのではないか」とやりとりされた経緯についてお教えください。

現在「アルファポリス」というサイトに投稿している小説『解剖令嬢』を掲載する前、妻にチェックを頼んだところ言われた内容からなんとなく思いついて書いたものです。

――多くの方から反響が寄せられていますね。

単純な駄洒落ツイートの一種でしたが、多くの方に「お題」として楽しんでいただけているようで幸いです。


「単純な駄洒落」といいながら、「あつらえる」の「える」と天使の「エル」を掛けたユーモアは、誰にでも真似できるものではありません。教養と遊び心、井戸さんのツイートは「こんな大人になりたい」と思わせてくれます。

井戸さんの著作は『呼び出された殺戮者(全9巻)』、『王族に転生したから暴力を使ってでも専制政治を守り抜く!(1・2巻)』(講談社刊)などが販売中。「井戸さんの書く文章が読んでみたい」と思ったら、ぜひチェックしてみては。