宝島社が、I&S BBDOと共同で立ち上げたプロジェクト「Mood Booster(ムードブースター)」は、「広告表現におけるジェンダー意識」の調査結果を9月10日に発表した。調査は、8月7日~8月10日の期間、全国の宝島社雑誌の女性読者モニターで、20~60代の1,000名を対象にアンケートを実施。

  • 「女性におススメ」「女性でも○○」といった広告表現に対し、違和感がありますか?(単一回答)

まず、「女性も食べやすくておススメ! 辛さ控えめキムチ」「女性でも簡単! 組み立て式ベッド」などと謳う広告を見かけるか尋ねると、「普段から見かける」と回答したのは約8割という結果に。そこで「女性におススメ」「女性でも○○」といった広告表現に対し、違和感を覚えるかどうか尋ねたところ、約5割の人が違和感を覚えると回答した。

  • 「女性におススメ」「女性でも○○」と表現されている商品の例です。この中にあなたが、違和感を覚える、または好感がもてない表現はありますか?(複数回答可)

次に、さまざまな例を挙げて、違和感を覚えやすい「女性」の使われ方を尋ねると、回答数が多かったのが、「女性も食べやすい! 辛さ控えめキムチ」「女性でも飲みやすいフルーティな日本酒」など味覚的な表現だった。そのほか、DIY作業が不要であることを表す「女性にありがたい! 配線や接続までおまかせの引っ越しセンター」や、体力づくりのハードルの低さを表す「女性でも続けやすいトレーニングビデオ」も違和感を覚える人の割合が比較的高い傾向にあった。特に、これらの表現に違和感を覚える人は20・30代が多かった。

一方、力仕事の負担を減らした表現「女性でも軽く持ち運べる掃除機」「女性でも簡単! 組み立て式ベッド」や、ファッションの男女の境界線を越えやすくする「女性にもおススメのメンズパーカー」は、違和感よりも好感(同様に聴取)の方が高かった。「女性」という言葉が筋力の性差やジェンダーフリーの説明になっている場合は、むしろ喜ばれることがわかったという。

  • 「女性におススメ」「女性でも○○」のような広告表現に対して、あなたの考え方に近いものを教えてください(複数選択可)

次に、違和感を覚える広告表現に対して、どうしてそう思うのかを尋ねると、5割弱の人が「わざわざ『女性』という言葉を使う必要があるのかわからない」と回答し、最多の結果に。特に、この考え方が顕著だったのは60代だった。

次いで、4割前後の人が「個人の性質を『女性』という言葉で一般化していることに違和感がある」「女性はこうだろう、といった思い込みに疑問を感じる」と回答し、特に20・30代の割合が高い傾向だった。

  • あなたが今後購入を検討される商品・サービスが「女性におススメ」「女性でも○○」と表現されていた場合の、あなたの考え方に一番近いものを教えてください(単一回答)

さらに、「女性におススメ」「女性でも○○」と表現された商品に対する購入意欲を聞いたところ、「違和感を感じたら買わないことがあると思う」と回答した人が約3割弱と、最多の結果に。また、「必要である限り購入はするが、商品・サービスの好感度は少し下がると思う」と答えた人も2割程度いた。

一方、2割強を占めた「特に問題を感じず購入することがほとんどだと思う」との回答を含め、悪い影響はないと考える人も一定数存在した。だが、商品やサービスの売り上げを左右すると回答した人の方が上回ったことは、興味深い結果だったとのこと。