リクルートは9月9日、信州大学農学部との共同研究において、航空写真より特定農地区分(畦畔:水田を囲んで作った盛土等の部分)を97.7%の精度で検出するAIを開発したと発表した。

畦畔は、水稲栽培に必要な水を田んぼにためる重要な役割を果たしており、大雨時の一時的な貯留などの役割も担っている。しかし傾斜地の多い中山間地域の水田では、平地と比べて畦畔斜面の面積や角度が大きく、そこでの過大な労働負荷や管理コストの負担が課題となっているという。

  • リクルートと信州大学農学部は、航空写真から特定農地区分を97.7%の精度で検出するAIを開発した

同共同研究では、リクルートのディープラーニングを中心としたAI技術および画像処理技術と、長野県林務部が作成した「航空写真×数値標高モデル」でAIモデルを作成する技術を確立し、水田の畦畔面積・傾斜角、農地に占める畦畔の割合(畦畔率)を計測し可視化、長野県全域の水田約5万haに対し、畦畔データ(GIS用座標付ポリゴンデータ)の作成に成功した。

そして生成したAIモデルの評価を実施するため、エリアや特徴の異なるデータを無作為で抽出した上で、正解データ(1308イメージ)を作成し、「畦畔領域」「水張領域」「その他領域」の3つのクラスによる特定農地区分を97.7%の精度で検知したという。

今後、畦畔データの作成技術はリクルートから信州大学農学部へ移転することによって研究を継続する予定とのことだ。