ソニーセミコンダクタソリューションズは9月9日、4.86μm角画素の被写体の変化のみを検出することができる積層型イベントベースビジョンセンサ「IMX636/IMX637」を発表した。

イベントベースビジョンセンサは、各画素の輝度変化を非同期で検出し、変化したデータのみを画素の位置(xy座標)および時間の情報と組み合わせて出力することで、高速、低遅延なデータ出力を可能としたセンサ。

センサの画素部と、輝度変化を検出する信号処理回路を組み込んだロジック部を、一画素ごとにCu-Cu接続で導通する独自の積層構造を採用することで、画素部の高い開口率を保ちつつ、画素サイズ4.86μmを実現。小型ながら高解像度を実現したことで、高速・低遅延で高時間分解能を持つデータ出力と低消費電力の両立と併せて、さまざまな環境下での素早い動体検出を可能としたという。

また、さまざまな用途に対応するため、パートナーであるPropheseeが開発した不要なイベントデータを除去する複数のフィルタ機能を搭載しており、これによりLEDフリッカーなど特定の周期で発生する認識に必要のないイベントの除去(アンチフリッカー)、対象物である動被写体の輪郭に該当しない可能性の高いイベントの除去(イベントフィルター)、後段のシステムが処理できるイベントレート以下となるようなデータ量の調整(イベントレート制御)などが可能だという。

さらに、ソニーとPropheseeの協業の一環として、センサの性能に最適化されたイベント信号処理ソフトウェア「Metavision Intelligence Suite」がPropheseeより提供されており、同ソフトウェアと組み合わせて利用することで、効率的なアプリケーション開発が可能となり、よりさまざまなユースケースに向けたソリューションの提供が可能になるとしている。

なお、IMX636が1/2.5型の有効画素数が約92万画素品で、IMX637が1/4.5型の有効画素数が約33万画素品となっており、いずれも2021年10月からのサンプル出荷を開始する予定としている。

  • 積層型イベントベースビジョンセンサ「IMX636/637」

    積層型イベントベースビジョンセンサ「IMX636」(左)と「IMX637」(右)