厚生年金に20年(原則)加入した場合、3つの条件を満たせば「加給年金」を受け取ることができます。「加給年金」とは、一定の配偶者と子どもがいることで支給されます。

◆老齢厚生年金には「加給年金」という名の家族手当がある

この「加給年金」とは、65歳になり老齢厚生年金を受け取る方(定額部分の支給が開始される方)に一定の「配偶者と子ども」がいることで老齢厚生年金に加算される年金制度です。したがって、「家族手当」のような年金といえるかもしれません。

それでは、まず加算される額について確認してみましょう。加算の対象(配偶者、子)によって以下のとおりとなります。

●配偶者:22万4700円

さらに、配偶者がいる場合に上乗せされる加給年金(配偶者加給年金)には、生年月日に応じて特別加算という加算が付くことになります。

特別加算を加えた配偶者加給年金の額(年額)は以下のとおりです。

●受給権者の生年月日別の配偶者加給年金+特別加算額(令和3年度)

昭和9年4月2日~昭和15年4月1日:25万7900円

ただし、加算の対象となる配偶者の被保険者期間が20年以上(中高齢の特例(※1)の場合は15~19年)の老齢厚生年金、または20年以上の退職共済年金を受給できるような場合には支給されません。配偶者に一定の年金収入があるのに、家族手当を付ける必要はないということなんでしょうね。

◆家族手当を受け取るための要件は3つ

●要件1

65歳時点で、原則20年なくても、20年加入した時点で要件を満たすことになります。なお、旧共済年金の加入期間についても期間に含まれます。

●要件2

●要件3

年金法で「生計を維持」されているか否かの基準は、「同居していること(別居でも定期的に仕送りしていたり、健康保険の扶養に入っていたりすること)」と「将来にわたり年収850万円以上の収入を得られないと認められること」となります。

◆生計維持の範囲は広い!

この3つの要件を満たすと、老齢厚生年金の受給権を取得してから、「配偶者が65歳になるまで」または「子どもが18歳になった年度末まで(または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいる)」の間、上乗せをされた年金を受け取れることになります。60歳代前半の老齢厚生年金の場合、定額部分、報酬比例部分両方が支給されるようになると上乗せがスタートすることになります。

◆「姉さん女房」は家族手当の対象外?

「要件2」を見ますと、まず「子ども」の要件が厳しいことがわかります。例えば男性で昭和24年4月2日、女性で昭和29年4月2日以降生まれの人の加給年金の加算がスタートするのは原則65歳。この65歳時点で子どもは18歳になった年度末まで(1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子)でなければならず、該当者はあまり多くないのではないかと思います。

そして配偶者の要件ですが、配偶者には「65歳未満」という要件があります。仮に配偶者が年上であるような場合、自身が65歳時点で既に配偶者は65歳以上となっているため、加給年金は支給されないことになります。逆に配偶者が若ければ若いほど、長い間加給年金を受け取れるということになるわけです。

例えば夫が老齢厚生年金の受給権を取得した時に妻が40歳だったとすると、夫も妻も元気でいることが前提ではありますが、妻が65歳になるまで25年間上乗せが続くということになります。

ただし、配偶者が20年以上の老齢厚生年金を受給した場合には加算されなくなることに注意が必要です。

◆「20年の壁」は超えておきたい

厚生年金の加入期間が19年と20年で、加給年金が受け取れるかどうかだけでなく、遺族厚生年金の取り扱いでも差があったりしますので、できれば「20年の壁」は超えておきたいですね。

(※1)中高齢の特例

●生年月日別の中高齢の特例加入年数

文:和田 雅彦(マネーガイド)

文=和田 雅彦(マネーガイド)