TSMCが、製造受託顧客に対しては値上げを通知する一方で、サプライチェーン上のサプライヤ各社に対しては、2022年に、納入する製造装置や材料の価格を15%ほど値下げするよう要求していると、サプライチェーン関係者の話として複数の台湾メディアが報じている。

台湾の半導体業界関係者によると、TSMCはこの値上げと値下げにより、粗利益率を2021年上半期の51%(実績値)から53~55%に引き上げることを狙っているという。ちなみに、台湾証券関係者によると、次世代GPUの製造委託を決め、さらに将来的なCPUの製造委託も図ることで、TSMC最大の顧客となる可能性があるIntelの粗利益率は56%とTSMCよりも高いという。

TSMCの統計によると、2020年に台湾内で購入した間接原材料の割合は約60%、保守部品の割合は約44.8%であったという。台湾内での調達は、海外からの調達に比べ割安であることから、2021年の間接原材料の調達割合は60.5%、保守部品については50%ほどに引き上げる予定だという。

なお、TSMCからは、いつもの通り、市場のうわさにはコメントしないとしているが、日本を含め、海外での製造については、台湾で生産するよりもコスト高になるとの認識を示しており、現地調査を進めているとしている日本への進出に関しても、同社は7月末の株主総会にて、日本側と協議を重ねているとコメントしているが、日本政府に対し、補助金の要請だけではなく、予定されている顧客の製造受託価格の見直しなどさまざまなコスト低減策についても詳細を詰めているものと思われる。