Western Digitalによるキオクシア買収協議が進み、9月中旬にも合意する可能性があると米Wall Street Journalが8月25日付けで報じている。買収規模は、200億ドルともいわれており、株式交換方式で、新会社のトップにはWestern Digital CEOのDavid Goeckele氏が就く方向で協議しているという。

Wall Street Journalは、2021年3月にも、Micron TechnologyとWestern Digitalがそれぞれ個別にキオクシアを3兆円程度で買収することを検討していると報じたが、キオクシアは、その時も今回も、噂や臆測にはコメントしないとし、東京証券取引所(東証)上場への準備を引き続き進めていると報道を否定している。

キオクシアは、2020年8月に東証への上場が承認されたが、同社の大口顧客である中Huaweiへの輸出規制を米国政府が強化したため、キオクシアの業績見通しが不透明になったことから、上場を直前に控えた同年9月に急遽上場を延期することを決定。あらためて2021年秋のIPOを目指して動いている。

長年の製造パートナーであるキオクシアとWestern Digital

Western Digital(もともとはSanDisk)は、2000年より20年あまりにわたってキオクシア(当時は東芝)と四日市工場でNANDフラッシュメモリの共同開発・製造を協業という形式で進めてきた。Western Digitalは、四日市工場の設備投資をキオクシアと折半して行ってきており、製造装置の50%の所有権を持っている。

そのため仮に、Western Digital以外がキオクシアの買収に成功したとしても、Western Digitalの合意が得られなければ四日市工場を稼働させることができない。米国の投資会社Bain Capitalが主導する日米韓のコンソーシアムがキオクシア(当時は東芝メモリ)を買収した際に、この件でひと悶着あった。

Western Digitalがキオクシアを買収する場合、このような複雑な問題は生じないが、かつて経済産業省がWestern Digitalによる東芝メモリ買収に反対したいきさつがある。また、買収が成功したとしても、キオクシア/Western Digital連合のNAND市場でのシェアが増えるわけではなく、キオクシアの経営権が米国半導体企業に移り、Bain Capitalが買収益をものにするだけということになる。ちなみにBain Capitalは今回の報道に対するコメントは避けているという。

キオクシアが米国企業に買収されることとなれば、広島のMicron TechnologyのDRAM工場(旧エルピーダメモリの基幹工場)同様、米国企業の売り上げとして計上されることになり、かつて世界の半導体市場で過半を占めていた日本勢のシェアは、これまで以上に下がることとなることが危惧される。

  • 経産省

    半導体市場における日本企業のシェアの推移 (出所:経済産業 半導体・デジタル産業戦略公開資料、2021年6月)