TrendForceによると、2021年第2四半期(4-6月期)のDRAM市場は、ノートPCからの需要が堅調であったほか、CSP(クラウドソリューションプロバイダ)の在庫積み増し、グラフィックスDRAMやコンシューマDRAMの堅調な需要などがあった結果、DRAM出荷数量が予想を上回った結果、前四半期比26%増の241億ドルに達したという。

しかし、第3四半期に入って一部のOEM/ODM(特にノートPC関連)のDRAM在庫のレベルが比較的高い状態になっているため、DRAMの調達量は縮小しているという。そのため、多くのDRAMサプライヤが市場見通しを強気のままとしているが、特定の製品セグメントからの需要の伸びは減速しそうだという。

DRAMサプライヤ各社は、見積り価格を引き上げる動きを見せているが、TrendForceでは同四半期のDRAM製品の全体的な平均販売価格(大口契約価格)は前四半期比でやや増加する程度に留まると予想している。ちなみに、PCを中心とする巣ごもり需要は第3四半期に入って落ち着きを見せてきており、8月のDRAMのスポット価格は横ばいからやや下落に転じている(TrendForceが調査対象にしているのは、断りのない限り契約価格である)。

  • TrendForce

    2021年第2四半期におけるDRAMサプライヤ売上高ランキング (出所:TrendForce)

値上げと先端品の出荷増でDRAM各社は業績が大幅に改善

3大DRAMサプライヤ(Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technology)ともに、値上げによる平均販売価格の上昇と、顧客の半導体不足に伴う価格上昇への危惧から先端プロセス製品を中心とした出荷数量の増加により、第2四半期の売上高は前四半期比20%以上の増加を記録した。第3四半期も各社ともに見積もり価格を引き上げるほか、出荷数量を増やす見込みだという。

また、プロセス的に見ると、Samsungは第1四半期より先端の1Z-nm DRAMの生産を開始したが比較的低い歩留まりであった。これが、第2四半期になり、習熟度が上がったことから生産量を増やすことができ、営業利益率も第1四半期の34%から、第2四半期には46%へと高めることができた背景にある模様である。SK Hynixも、先端プロセス品の歩留まり改善を図ることで、第2四半期における営業利益率を38%に向上、Micronも同様で、営業利益率を第1四半期の26%から第2四半期は37%へと高めることができたという。価格、出荷数量ともに第3四半期も上昇し続けると仮定すると、業界トップのSamsungの営業利益率は約3年ぶりに50%を超す可能性があるとTrendForceは予想している。

その他のDRAMサプライヤが集結している台湾勢も第2四半期に売上高を増加させることに成功している。こちらもDRAM需要の増加を受けた値上げや出荷数量の増加などに起因しているという。

ただし、台湾DRAMサプライヤ大手のNanya、Winbondともに現在、生産能力が不足するという問題に直面しているという。すでに既存ファブに製造装置を追加で収容する物理的なスペースがないとのことで、両社ともに新規ファブの建設を進めているが、短期的には値上げを行わなければ、これ以上の売り上げ拡大は難しい状況にある。