奇才 オラチオ・パガーニによる最高傑作、ゾンダRがオークションに!

前例のない細部へのこだわりと完璧さの追求により、パガーニは1999年に最初の車、ゾンダC12を作りあげた。ランボルギーニ社で働いていたオラチオ・パガーニは、カーボンファイバー構造に先見の明があり、自動車の世界でのカーボンファイバー使用の可能性を感じていた。炭素繊維技術への投資を若きパガーニは提案したがランボルギーニ社に断られてしまう。そこで自らの手で自動車を設計することを決意し、開発したのがゾンダだ。1999年のジュネーヴ・モーターショーで発表されたゾンダC12は、その特徴的なライン、卓越した性能、並外れた造り込みの良さですぐにジャーナリストたちを魅了した。

【サーキットでも美術館でも一流品、パガーニゾンダR】(写真14点)

ゾンダの生産期間は20年以上に及び、スーパーカーの中では他に類を見ない。これもパガーニの製品開発に対する厳格で完璧主義なアプローチの証である。2007年、パガーニは初のサーキット走行に特化したモデル、ゾンダRを発表した。ゾンダRは、パガーニの技術力を最も恐ろしく、スパルタンに凝縮した、まさにパガーニの力作である。ゾンダRは、レースや政府の規制から解き放たれた究極のドライバーズカーとして、一切の妥協を許さず設計された。

ゾンダRの構造は、ゾンダFのシャシーをさらに進化させたもので、パガーニ社が独自に開発したカーボン・チタン・モノコックを採用している。サスペンション・ジオメトリー、パワートレイン、シャシー構造、ボディワークなどは、このモデルのために特別に開発されたものだ。ゾンダRでは、カタログに掲載されている既存の部品の使用率はわずか10%と言われている。ゾンダRは、ロードカーをサーキット用に改造したものというよりも、オーダーメイドのようなマシンなのだ。

ゾンダRは究極のパフォーマンスを追求しながらも、ボディ、インテリア、エンジンルームのすべてが素晴らしいのだ。ゾンダRのボディには、4つのプロジェクタービームランプを備えた巨大なスナウトの上に、これ以上ないほど多くのディフューザーとスポイラーが配置されている。リアでは、高度に調整可能なリアウイングとクワッドテールパイプが想像を絶する美しさを放っている。ゾンダRは、他に類を見ない卓越したエンジニアリングと芸術的なデザインの融合を実現している。

そんな自動車として究極の境地に達したゾンダRが、RMサザビーズ主催のオークションに出品されている。

このゾンダRは、メルセデス・ベンツCLK GTRと同じ6.0リッターV型12気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力800psを発揮する。このエンジンには、多板式レーシングクラッチと軽量マグネシウム製ケーシングを採用した6速シーケンシャルトランスアクスルが組み合わされている。エンジンには、ルーフに取り付けられたF1由来のカーボンファイバー製インテークチャネルから新鮮な空気が供給され、エグゾーストには、同様にセラミックコーティングされたインコネル625製ヘッダーが使用されている。素晴らしいパワーウエイトレシオと素早いギアチェンジにより、ゾンダRは2.7秒で時速60マイルに到達し、最高速度は時速230マイルを超えると言われている。ゾンダRは、まさに猛烈なサーキット兵器なのだ。ゾンダRは、2010年7月にパガーニのファクトリードライバーであるマルク・バッセンが6分47秒00を記録して以来、11年ぶりにニュルブルクリンクのノルドシュライフェを周回したノンシリーズの市販ガソリン車の最速記録を保持している。

このゾンダRは、2009年から2011年にかけてパガーニが製造した10台のうちの5台目であり、カーボンファイバーを織り込んだボディに「トリコローレ」と呼ばれるアクセントが施された美しいエクステリアが特徴だ。この車は、前オーナーがパガーニの工場に返却し、Rエボリューション仕様にアップグレードされた数少ない仕様のゾンダRだ。Rエボリューションでは、エンジンに改良を加えてノーマルより50馬力アップしたほか、オリジナルの仕上げとパターンを踏襲した軽量マグネシウム合金ホイールを新たに装着。また、標準のウイングの下に小型のセカンダリーリアウイングを追加してダウンフォースを増大させ、フロントボディワークを見直し、フロントコーナーにダイブプレーンを追加されている。現在、オドメーターはわずか1,016kmしか表示されていない。

ゾンダRは、一切の妥協を許さないドライバーエクスペリエンスをドライバーに与えてくれる。レースで証明されたV型12気筒エンジンは、現在の時代で最も音の良いエンジンと言っても過言ではなく、その卓越した作り込みと相まって、ゾンダRは他の追随を許さない存在となっている。ゾンダRのほとんどはプライベートコレクションに隠されており、一般に公開されることは非常に稀だ。このゾンダRは、次のオーナーがどこに行っても注目の的になることは間違いない。アメリカの地で初めて公開されたこのゾンダRエボリューションは、間違いなく当時の最も印象的な車のひとつと言えるだろう。

Photography: Karissa Hosek (C) 2021 Courtesy of RM Sotheby's