動き出す【東京メトロ】の「延伸・新線整備」「株式上場」

「延伸・新線整備」と「株式上場」──。東京メトロが抱えていた2つの難題が動き出す。

 国土交通省の有識者委員会が同社株を保有する国(53・4%)と東京都(46・6%)に対し、それぞれ半分を売却して上場させるよう提言した。国交省は22年度予算の概算要求で新線建設に向けた調査費を求める方針だ。

 延伸・新線整備では「地下鉄8号線(有楽町線)延伸構想」が挙げられた。交通手段がバスしかない豊洲駅と住吉駅間の全長約5・2キロを結ぶ路線で東陽町駅を経由する。江東区をはじめ、沿線自治体が要望してきた。

 また、新線整備では品川駅に新駅を建設し、白金高輪と結ぶ「品川地下鉄構想」の必要性が盛り込まれた。これらの運行主体はメトロを想定している。だが、当のメトロは「経営に悪影響を及ぼさない範囲で行う」という考えで、「新線建設には慎重」な姿勢を打ち出している。

 株式上場も「浮いては消える議論だった」(関係者)が、一歩前進した。かねてより震災の復興予算に充てるため、国は27年度までにメトロ株を売却する必要があったが、保有株の売却で経営への影響力が低下し、都営地下鉄との一元化を見据えていた都はこれに慎重だった。だが、昨年、東京都知事の小池百合子氏がメトロ株売却と地下鉄の路線建設をセットで考えて欲しいと要請し、事態が動いた。

 公共交通機関として利用者の安全や利便性をいかに向上させるかという使命は変わらないだけに、政府、都、自治体、メトロには大局的な視点に立った議論が求められる。