JINが語る、歌手としての義務と使命、BTS「Spring Day」に込めた想い|2021上半期ベスト

2021年上半期(1月~6月)、Rolling Stone Japanで反響の大きかった記事ベスト3を発表。この記事は「音楽部門」第2位。「ツアーができないときは全員が喪失感というか、無力感のようなものを感じました」とJINは語る。(初公開日:2021年6月21日)

BTSのメインプロデューサーを務めるPdoggは、トップレベルとさらにその先を求めてメンバーを追い込み鼓舞するのが好きだ。そのもっとも極端かつ称賛に値する例は、「Crystal Snow」でファルセット以上のハイトーンの長音に挑むJINの姿だろう。こうした瞬間や他の場面だけからは、芸能事務所のBig Hit Entertainment (現:HYBE)に練習生として入所したJINがもともとは歌手ではなく(ましてやダンサーでもない)、演技を学んでいたなんて想像できないかもしれない。米ローリングストーン誌が急きょ行ったBTSのメンバー単独インタビュー第3弾のなかでJINは、その卓越した技能を身につけた経緯について語り、ミュージシャンとしての最高の瞬間を振り返った。ボタンダウンの青いワイドカラーシャツに、SUGAからプレゼントされたMASTERMINDという日本のアパレルブランドの黒いベースボールキャップを合わせた彼は、韓国のソウルにある所属レーベルの本社の一室で本誌のインタビューに応じてくれた。

【動画を見る】BTSのJIN 表紙撮影メイキング動画

ー聞いたところによると、寝起きのようですね。昨日はどんな1日を過ごしていたのですか?

昨日は、韓国でよく知られている人気バラエティ番組の撮影に行きました。こうした仕事は久しぶりです。これだけは何が何でも言わせていただきたいのですが、撮影中はみんなおかしなテンションで、イケメン、イケメンとイジられっぱなしでした(笑)。

ーイケメンっぷりはマスクをしていてもわかります。昨年はツアー活動の中止により、立ち止まることが多かったと思います。自分について新しい発見はありましたか?

とくにツアー中は自分自身について考えたり、何をすれば自分がハッピーで、どんなことでリラックスできるかなんて考える時間はありませんでした。1年間ツアー活動から離れたことで、自分が求めているものや本当の自分についてじっくり考え、自分自身を愛する方法を学びました。寝る時間も増えましたし、そのおかげで多くの充足感を得られるようになりました。運動にもチャレンジし、好きだということにも気づきました。あとは、ゲームをしたり、映画を観たり、歌を歌ったりなど、日常的なことですね。

ーそれと同時に、ツアー活動ができないつらさも感じていたのでしょうか?

僕だけでなく、他のメンバーもまさに同じ気持ちでした。ツアーができないときは全員が喪失感というか、無力感のようなものを感じました。そして全員が悲しんでいたんです。こうした感情を乗り越えるには、かなりの時間が必要でした。

「Abyss」というタイトルからもわかるように、作詞中は本当に絶望のふちにいるような気分でした。とにかく悲しくて、気が滅入っていたんです。でも実際この曲を歌い、レコーディングに入ったおかげでこうした重い気持ちがかなり軽くなりました。

ー「Moon」はギターが主体の名曲です。BTSがもっとロック寄りの楽曲をやりたがっているという噂は本当ですか?

ロック寄りの楽曲がくれば、絶対拒まないと思います。もっとたくさんできたらいいなとは思うのですが、僕たちのチームのスタイルにふさわしいものでなければいけませんよね。

ー演技というバックグラウンドをお持ちですが、練習生時代にゼロから歌と踊りを勉強したというのは本当ですか? そのときの体験について聞かせてください。

それは事実ですし、いまも変わっていません。他のメンバーがもっと自然にできるかもしれないことが、僕にとってはかなり難しいのも事実です。いろんなところに弱点があるんです。たとえば、他のメンバーは1日で振り付けを覚えて、すぐに音楽に合わせて踊ることができます。でも、僕にはそれができません。だからメンバーの足を引っ張ったり、チームの負担になったりしないように、一生懸命努力します。1時間早くダンスのレッスンに来たり、レッスン後も1時間くらい残って練習したりしますね。講師の方にもう一度振り付けを教えてくださいとお願いするんです。

自分が歌手になったと実感できた瞬間は、本当の意味ではなかったと思います。それに、僕はまだ歌をマスターできていません。でも、歌手にはオーディエンスに喜びを届ける義務と使命があります。ツアー活動をするうちに、オーディエンスが僕のパフォーマンスを観て喜んでくれていることに気づきはじめたんです。同じ感情を共有し、僕のパフォーマンスがみんなの胸にもっと響くようになっていきました。これを機に、歌であれ、パフォーマンスであれ、その他のことであれ、オーディエンスとコミュニケーションが取れていると実感できるようになりました。

(ニヤリと微笑みながら)多くは、運にあると思います。パン氏は、僕たちと出会ったことで自身の天才性に気づいたのです。その点で彼はラッキーでした。僕たち抜きでここまで来ることはできなかったと思います。彼の運の良さは、彼自身の天才性に依るところが大きいのではないでしょうか。ひとつ言えるのは、彼には未来を見据えて、かなり早い段階から流行に気付ける能力があるという点です。「これは僕たちがやるべきことだ、これは未来にとって良いことなんだ」と先が見えるんです。その点では、きわめて有能な人物だと思います。それに加えて、強運の持ち主でもあります。

ーJINはメンバーのなかでも最年長ですが、人は有名になるとその年齢で時が止まってしまうというジンクスがあります。というのも、その時点で日常生活がストップしてしまうからだそうです。ご自身としては、30代が近づいていることを自覚していますか? それとも、気分的にはもっと若いと感じていますか?

なんだか自慢話をしているみたいで、この質問に答えるのは恥ずかしいですね。でも、僕たちがキャリアのピークにいると思ったあらゆる瞬間のあとから、さらなるピークが次々とやってきた印象です。ですから、歳を重ねるごとに——何度も言うように、ちょっと恥ずかしいのですが——何度も頂点に到達できたと感じています。ですから、気分としては年相応です! 自分が29歳だという自覚はありますよ。

ーどこかでまた演技に挑戦したいという思いは?

絶対ない、とは言い切れませんよね。どちらかと言うと、流れと気分に身を任せるのが好きです。いまは本当に音楽が大好きですから、当然、心は音楽活動に向いていると思います。

ー「Spring Day」がグループ全体の成果であることは明白ですが、JINのパートがとくに感動的だと思います。レコーディング中に記憶に残っているエピソードは?

この曲にふさわしい心地よいセンチメンタルさというか、メランコリックな感じが出したかったんです。歌詞ができると、全員でテーマとレコーディングするときの雰囲気をどうするか決めました。楽曲全体に伝わるようにと、たくさんのいい思い出を振り返っていたんです。たとえば、連絡を取らなくなってしまった友人のことを考えながら、その悲しみを表現しようとしました。

楽曲が完成すると、まずは全員で歌います。全員で1曲丸ごと通すんです。その後、どの部分がどのメンバー、あるいはどんなキャラクターに合うか? と考えて決めていきます。パートが決まれば、あとはそうしたイメージに合わせていくんです。

ー最後の質問です。練習生だった頃は、これほどの成功を思い描くことはできましたか?

あの頃は、1000人オーディエンスを集められれば、もう夢が叶ったようなものだと思っていました。それが当時の僕の目標でした。

J-HOPEが語る、BTSで成長することとソロ活動の意味

JIMINが語る完璧主義とダンスに捧げる情熱、ARMYへの愛と感謝、BTSの未来

JINが語る、歌手としての義務と使命、BTS「Spring Day」に込めた想い

JUNG KOOKが語るBTS「Dynamite」制作背景、ARMYへの想い、アリアナからの学び

▼RMが語るK-POPの定義、BTSと自分自身のアイデンティティ

SUGAが語る、BTSが世界制覇後もハングリー精神を保ち続ける秘訣

▼Vが語る、BTSを支える音楽愛と発表を控えたミックステープ制作秘話

Rolling Stone Japan vol.15

>>関連記事:Rolling Stone Japan BTS号インタビューノーカット翻訳掲載

>>記事本文に戻る