なんとそのあと高校を中退し、応募337名、合格20名の超狭き門、オートレース選手養成所に合格していたのだ。さらに約9か月の厳しい訓練に耐え、プロデビューの切符を手にした。3年前のあどけない笑顔の少女が、プロレーサーに?!

そう、この日は日和ちゃんのデビュー戦の日だったのだ!伊勢崎市初の女性オートレーサーの誕生に、伊勢崎市は湧いていた。地元紙、上毛新聞のスポーツ欄にはデカデカと「新井」の文字が載り、伊勢崎市の広報誌まで特集している。

レース前の日和ちゃんにも話を聞くことができた。

「ここまで来れたのもいろんな人のおかげなので、感謝を届けられるような走りをしたいです」と泣けることを言う。なにしろ彼女は、高校を中退して青春の全てを捧げてきた。バイクを押すのがやっとだった少女が、半年経つ頃には自在に操るまでに成長していた。めざせ、デビュー戦で1着を!

日和ちゃんの家族も応援に来ていたが、お母さんは「小さい頃からの夢ではあったんですけど、転んだりして迷惑をかけやしないか。無事に完走してくれれば」と言いながらすでに泣きそうになっている。

次々にゴールするレーサーたち、数秒の間をおいて日和ちゃんもゴールイン。デビュー戦で1着の夢は果たせなかったが、「走りきってよかった」とガッツポーズおじさんは讃える。「本当にオートレーサーになっちゃった」とまた泣いているお母さん。そう、とにかく完走してオートレーサーとしてデビューしたことを喜びたい。

レース後の日和ちゃんは「スタート位置に立つ時も地元の人とか応援してくれたので、一番でゴールを切れるようにとにかく練習するだけです」と、悔し涙と嬉し涙を一度に流しながら前向きに語ってくれた。すると、さっそく終了後のレース場で練習を始める日和ちゃん。そうだ、次がある。いつの日か、1着をめざして頑張れ!

【文:境 治】