みなさんの身の回りにロボットはいますか?

時間になったら家の中を走り回って掃除をしてくれるロボット、ペットのように呼び掛けると反応し近寄ってくれるロボット。最近では飲食店で配膳をしてくれるロボットも見かけるようになってきましたね。

もしかすると近い将来、家で家族のように一緒に過ごすロボットや、遠く離れた場所での作業が簡単にできるロボットが今よりもっと身近になるかもしれません。


未来館では昨年2020年から市民参加型の実証実験として、研究開発中のロボットシステムを体験し、参加者のみなさんと一緒に少し先のロボットとのくらしを考えるイベントを実施しています。

オープンラボ「人間ロボット共存プロジェクト」

今年も8月3日(火)~5日(木)に2つのタイプのロボットを使った実証実験を行います。ぜひご参加ください。

ロボットと一緒に食事をする未来

まず、ご紹介するのは、私たちの暮らしの中に入ってくるロボット。コロナ禍で人と一緒に食事をする機会が減った人も多いのではないでしょうか。私たち人間にとって“食事”は、栄養補給だけでなく、人とのコミュニケーションの場でもあったりします。誰かと一緒に食べると、一人で食べる時よりもご飯がおいしく感じられますよね。

実験実施者の一人、藤井綺香さん(東京大学大学院情報理工学系研究科)はドラえもんが大好きで、ドラえもんのように人と一緒に暮らして遊んだりしてくれるロボットを作ることを目指しています。未来館の実験では“一緒に食事をすること”に注目し、ロボットがどんなことをしてくれたら食事相手としてうれしいか、意見を集め、藤井さんがつくるロボットに反映させていこうとしています。

藤井さんとロボットのNAO

みなさんは食事相手にどんなことを求めるでしょうか?

食べ物の味に共感してほしい

共通の話題で盛り上がりたい

ロボットだと人間とまったく同じようなことはまだできません。


ですが、ロボットならではの良い面もありそうです。例えば、どんな時間でも食事に付き合ってくれるのは、お腹がすかないロボットならではの利点ですね。食べているときに相手のペースを気にしなくてよいという気楽な点もありそうです。

これまでの実験では、NAOという小型のロボットがチョコレートを食べている人に食べ物に関する話題を提供したり、ちょっとした会話をしてくれました。

今後の実験ではNAOではなく、藤井さんが食事の相手として作ったロボットが登場します。新しいロボットが食事時間をともにする相手としてどんなことをしてくれるのか、楽しみです。

ロボットと一緒に仕事をする未来

別なタイプのロボットも紹介しましょう。重たいものを運んだり、人間が簡単に行くことができない場所のものを動かしたりしなければいけない時、離れた場所のロボットを自在に動かし作業ができると便利ですよね。実際に、宇宙ステーションや火星や月で人間の代わりに作業をするためのロボットが開発されています。ですが、このようなロボットの操作は、熟練した技術者が行う高度な作業となってしまいます。

もう一人の実験実施者の北川晋吾さん(東京大学大学院情報理工学系研究科)は、ロボットに触れたことがない人でも簡単にロボットを操縦することができるシステムを研究しています。

北川さんとロボットのバクスター

これまで、手に持ったスティック状のコントローラーの動きの情報をインターネットで東京大学(本郷)にあるバクスターというロボットへ送ることで、ロボットを遠隔操縦するという実験を行いました。コントローラーを持った腕を動かすと、人の動きに合わせてロボットの腕も動きます。この状態で、ロボットの目の前に置かれたバッグの中から宇宙食をつかみ取り出すというミッションに挑戦してもらいました。

簡単そうに見えますが、なかなか思うようにロボットを操縦できません。離れた場所にいるロボットの目線カメラを見ながら操作しますが、映像だけではロボットの腕とつかもうとするものの距離感が分かりにくいです。さらに、ロボットの腕の形と人間の腕の形は少し違っています。私たち人間ができる動きがロボットは苦手だったりすることも。

このような難しさを解消するため、北川さんは新たなロボット操縦装置を開発しています。実験のネタバレになってしまうので、まだ詳しく紹介できないのですが、この装置を使うと、誰でも直感的にロボットを操縦することができます。気になる方はぜひ実験に参加し、使い心地を北川さんに伝えてください!

ロボットと暮らす未来はどうなる?

藤井さん、北川さんが所属する東京大学の情報システム工学研究室は、ヒト型ロボットの研究をしているグループです。ロボットは目的、役割に応じて見た目や形が様々です。必ずしもヒト型である必要はありません。とはいえ、ヒト型ロボットならではの強みもあります。人間は腕、脚、頭など体全体を使って、いろいろな動作をします。人間の体の形に近いロボットであれば、人間がする様々な動作や作業を1台のロボットでできる場合があります。また、身振り、手振りなど言葉以外のコミュニケーションもとれるかもしれません。

そんなロボットが私たちの身の回りにやってきたら、どのように使っていきたいでしょうか?ロボットを開発している研究者はそれぞれの課題や目標を持って研究していますが、将来ロボットを使うのは私たち自身です。製品となって私たちの身近にやってくる前に、私たちがどのようにロボットを使っていきたいか、受け入れていくのか、研究者と一緒に考えることがロボットとの良い関係を築いていくうえで必要です。ぜひ、一緒に最先端のロボット研究に参加してみませんか?


次回、8月3~5日のイベントでは、2つの実験を実施します。

1. ロボットの遠隔操作

北川さんが開発しているロボット操縦装置を使って、離れた場所にいるロボットを実際に動かします

2. ロボットと一緒にチョコレートを食べる

藤井さんが作ったロボットとお話をしながらチョコレートを食べます


この日は来るのが難しいという方も、ご安心ください。まだ実験は続きます。今後の実験については、未来館HPのイベント案内でお知らせします。


今までの実験イベント

https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202103201771.html

https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202008131511.html



Author
執筆: 保科 優(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
研究室でコンピュータと向き合うより自然の中に出たくて、大学院ではフィールド調査を行う氷河や南極の雪の研究へ。雪や氷の成分から過去の気候を調べる研究をしていました。自然現象の楽しさを伝えたいと思い未来館へ。科学技術の発展で、私たちの生活はどう変わるのかに興味があります。