【経済産業省】米国の参加は見通せずも、英国がTPP加盟交渉開始

環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を目指す英国は6月22日、既存の加盟11カ国との交渉を開始した。TPPメンバーの今年の議長国を務める日本の西村康稔経済再生相とトラス英国際貿易相が同日、オンライン会議で会談し、英国の加盟交渉のための作業部会を近く設置することを確認した。TPPが2018年に発効してから、初めて参加メンバー拡大交渉が本格化することになる。

 西村氏は会談で「他の加盟国とともに、加入手続きを精力的に進めていく用意がある」と表明した。トラス氏は「英国全体が協定によって大きな利益を受ける」と述べ、改めて早期加盟に意欲を示した。

 英国はTPP加盟により、加盟国への輸出が2030年までに65%増えると予想。特に自動車やウイスキー、農産品の輸出拡大を目指す。TPP加盟国も英国が参加すれば、世界経済に占める域内の国内総生産(GDP)は現在の約13%から約16%まで拡大する。

 20年末に欧州連合(EU)から離脱した英国は、今年1月に発効した日英の経済連携協定(EPA)に続き、TPP加盟で「アジア太平洋の成長を自国経済に取り込む姿勢を鮮明にする」(外交関係者)とみられる。

 TPPは15年に日本など12カ国で大筋合意したが、18年に発足した米国のトランプ前政権が離脱を決定。米国を除く11カ国で合意した新協定「包括・先進的環太平洋連携協定(CPTPP)、通称TPP」が18年に発効した。

 新TPPは高度なデジタル経済ルール、国有企業の優遇制限などを盛り込んでおり、政府内には「国家管理経済で成長する中国を牽制できる枠組みになる」といった見方もある。

 関係者の間では、対中安全保障の視点から、英国の加盟に続き、政権交代後の米国のTPP復帰を期待する声も根強い。ただ、コロナ対応と国内の雇用拡大を優先課題に上げるバイデン政権や米議会には新たな貿易交渉開始に慎重な声が多く、日本政府悲願の「米TPP復帰」は実現の見通しが立っていない。

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