小泉孝太郎主演のドラマ『病院の治しかた~スペシャル~』が26日20時より放送される。同作は、スピードスケート選手・小平奈緒が今も所属する相澤病院が、かつて多額の借金を抱え倒産危機から奇跡の復活を遂げた“実話”をベースにした物語。2018年5月21日放送の『カンブリア宮殿』にて「小平奈緒の金メダルを支え続けた感動物語!知られざる相澤病院」と題して放送したところ、院長の常識を覆す大胆な改革ぶりが反響を呼び、2020年1月クールに連続ドラマ化された。病院経営にスポットを当てた異色の医療ドラマとして注目を集め、同年の「東京ドラマアウォード2020」では連続ドラマ部門優秀賞を受賞するなど好評を博した。

SPドラマでテーマに取り上げるのは、今まさに日本の医療界が直面している「コロナ禍」と、その先に立ちはだかる「2025年問題」。人口の4分の1が高齢者となる2025年に向けて待ったなしの地方医療改革に、小泉孝太郎演じる有原修平が奔走する。今回は稲田秀樹プロデューサーに、作品のテーマや病院取材で聞いた実際の声、同作に込めた思いについて話を聞いた。

  • 小泉孝太郎

    ドラマ『病院の治しかた~スペシャル~』主演の小泉孝太郎 (写真提供:テレビ東京)

■医療界のリアルな実態にこだわり

——連ドラの反響を受けてのSPということで、コロナ禍の現状も取り入れたり、もう少し先の医療も見据えていたりという内容になっていますが、どのようにして企画が進んでいったんですか?

連続ドラマ放送時から好評をいただいていたので、現場としてはすぐにでも新作をという思いはありました。ただ、放送直後からコロナ禍がどんどん拡大していき、病院経営や日本の医療について、多くのメディアで取り上げられるようになって、逆にスペシャルのテーマをどこに置くべきか難しくなってしまいました。何をどう作ったらいいのか、ずっと見出せずにいたのですが、ようやく去年の秋ぐらいに、とある取材がきっかけでヒントが見つかった。今回、新型コロナウイルスに始まり、2025年問題、急性期医療と退院支援にまで踏み込みますが、日本の医療界全体での『役割分担と連携』といった出口が見えてきました。僕らなりに何か提言できるようなものを見つけるまでの過程がつらかったですね。

連ドラの時から、医療界のリアルな実態を描くことにすごくこだわりをもっていて、脚本の山本むつみさんには献身的な取材力で取り組んでいただいていたので、その姿勢はなくしちゃいけないと、今回も「リアルさ」は踏襲しています。スーパーヒーローやヒロインがオペで大活躍する話でもないし、分かりやすくスカッとする話でもないんですけど、そんな中でも皆さんに希望や夢を与えられる作品にすることだけは心掛けています。見てもらって温かい気持ちになって欲しいですね。

——いろいろと取材を行ったとのことですが、特にコロナについて、実際に病院の方達の声で印象的だったのはどのような意見でしたか?

モデルになっている長野県松本市の相澤病院はもちろん、ほかの医療従事者のお話も伺いました。どこも相当な経営難に陥ったと伺っています。コロナ対応への出費もあるし、意外だったのは、緊急事態宣言のもと「人の動きが減ると、ケガや事故が減って患者が減る」という状況が生まれていたこと。政府も補助金などの対応はしているんですが、動きが遅かったり、必要な時に必要なものがなかなか手に入らなかったり、というお話も聞きました。コロナを受け入れることに注力すると、それ以外のことが制限されてしまうし、もし去年の時点で地域の病院が連携、情報交換し合うシステムがあれば、医療崩壊という危機も少しは緩和されたのではないか、という意見もありました。

——そういった現状に対するメッセージが作品に込められていると思いました。

ドラマは元々エンターテインメントだという気持ちで取り組んでいますが、皆さんに楽しんでいただきつつも、ジャーナリスティックな視点で、今ある問題を取り上げて世の中にメッセージを届けるというのも、僕らの仕事の役割の一つだと考えています。『病院の治しかた』に関しては、メディアに関わる人間としてとても責任感を感じながら携わっています。

——主演の小泉孝太郎さんは、今回のSPについてどのような反応をされていましたか?

スペシャルのことはずいぶん前からお伝えしていたものの、なかなか具体的な内容をお見せできずにお待たせしていたつもりだったんですが、いざある程度形になった台本をお渡ししたら、「え、こんなに早く!?」と驚かれていたのが印象的でした。しかも、まだ渦中にあるコロナを真っ正面から取り上げていたり、コロナを体験したからこそ、待ったなしで取り組んでいかないと行けない超高齢化社会の2025年問題にまで踏みこんでいたりもしたので、「これをこの短時間で……本当にすごいですね」と。役者として、まさに今の問題を描く作品に参加するという機会を与えてもらって感謝している、ともおっしゃって頂きました。

——連ドラからSPドラマに至るまでで、印象的だった反応はありますか?

今、ドラマの企画ってわりと幅が狭くなっている部分もあると思うんです。刑事ものや、人の命を救う医療ものと、わかりやすい作品が望まれていて……。もちろん望まれるものを提供していくのも大切なことなんですけど、『病院の治しかた』では医療ものでも一切オペシーンが出てこない、病院経営にスポットを当てた作品だったので、「こういう作り方もあるんだ」と言われることがすごく多かった。そこを評価していただいたのは、ありがたかったです。

——それが実現できたのはテレビ東京さんだから、という面もあったのでしょうか?

まあ、基本あまのじゃくというか、オリジナリティあふれる社風だからでしょうか(笑)。もともと経済に強い局で、「ドラマbiz」というビジネスに着目したドラマ枠だったのも、良かったのかも。この枠で医療ドラマをできないかなというのはずっと考えてたんですが、なかなか良い企画がなかったところに、今回ご一緒してる志村プロデューサーが「『カンブリア宮殿』で倒産寸前の病院を立て直した話を扱っていて面白かったんだけど、ドラマにしたらどうだろう」と持ちかけてくれて。「まさにこれだ!」と思いました。『カンブリア宮殿』から生まれたというのも、テレビ東京ならではと言えるのかもしれません。

——最後に、放送にあたってメッセージをいただければ。

本当に、今回はとにかく一人でも多くの皆さんに見て頂きたいと思ってます。オンエアが、ちょうどオリンピック期間中で、注目の試合たちの裏で放送されるんですが、そんな中でもこのドラマを選んでいただけたらとても嬉しいです。個人的には、もしタイミングがあったら政治家の方々や行政に関わる皆さんにも見ていただいて、何がしか考えていただけるようなきっかけになったらと願っています。

■稲田秀樹プロデューサー
共同テレビジョンで『世にも奇妙な物語』『アンフェア』『リーガル・ハイ』シリーズなど多くのドラマを手掛け、2016年にテレビ東京に移籍。主な担当作に『ヤッさん〜築地発! おいしい事件簿〜』(17年)、『ヘッドハンター』(18年)、『Aではない君と』『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』(19年)、『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』 『レンタルなんもしない人』『共演NG』(20年)など。