【JAL】「空飛ぶクルマ」の実用化へ 他業界からも競合が続々参入

新たな空域を巡る競争が激しさを増している。空と言えば飛行機が主役だったが、より低空を飛行するドローンや近中距離を手軽に移動する次世代の乗り物として注目を集める「空飛ぶクルマ」を使った事業の実用化が近づきつつあるからだ。

 日本航空(JAL)が「空飛ぶクルマ」を使った事業を始める。「(安全や定時性など)飛行機で培った運航ノウハウを活用できる」と関係者。同社が使用する機体は2人乗りで、eVTOL(電動垂直離着陸機)と呼ばれる電動モーターで複数の回転翼を回転させる小型航空機だ。

 機体はJALが出資している独スタートアップ・ボロコプターが製造。同社は17年にドバイで飛行試験を実施し、19年にはシンガポールで空飛ぶタクシーの有人試験飛行を成功。自動運転による飛行も目指している。

 JALは目標時期を25年度に設定しており、三重県と実証実験や事業化に向けた連携協定を結んでいる。同県とは15年に食と観光の振興に向けた協定を結んでいたが、新たに次世代モビリティーの開発などの項目を追加。空飛ぶクルマを使って三重県内の観光や離島・過疎地に活用することや同県でのワーケーションを推進することで力を合わせていく考えだ。

 同じ25年度に空飛ぶクルマの事業化を目指しているのはANAホールディングス。同社は既に中日本航空と名古屋鉄道と連携し、ヘリコプターを使って空飛ぶクルマの飛行ルートを想定した実証実験を行っている。

 こちらも三重県との受託契約に基づいて実施。志摩市と中部国際空港間を移動する場合、地上交通だと約2~3時間かかるが、空を使った移動では約20分と大幅に時間を短縮できる。

 ただ、空飛ぶクルマは航空会社の独壇場にはならなそうだ。製造や運用で国内外のスタートアップをはじめ、エアバス、トヨタ自動車、IT企業など取引先や他業界から競合が出てくると見込まれる。新たなビジネスの育成を進める中、エアラインとしての強みをどう発揮していくかが重要になる。

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