大阪大学(阪大)は7月20日、ずんぐりと太いカブトムシの幼虫が固い地中をどうやって掘り進んでいくのかという長年の謎を明らかにしたと発表した。

同成果は、阪大大学院 生命機能研究科の足立晴彦大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

カブトムシといえば人気のムシだが、そのイモムシ的な外見をした幼虫に関しては好き嫌いの分かれるところで、土の中で生活していることは知られているが、あまり穴を掘るには適さない体形をしているように見受けられる。体が太く、先端部の頭も丸く、さらに、肢も短いため、ミミズやモグラのような掘り方は不可能であるためである。

そこで研究チームは、地面の中の動きをリアルタイムで観察でき、なおかつ土の硬さも自由に変えられる装置を開発。カブトムシの幼虫の穴掘り技術の観察を実施。その結果、幼虫は、地面が柔らかいときは、ミミズのように、蠕動運動しながら直線的に掘り進むが、固い地面に当たると、でんぐり返しのような、連続的な回転運動により土を削りながら掘り進むことが見出されたという。

今回の結果は、これまであまり研究が進んでいなかった土中での昆虫の動きが、予想以上に知性的であり、バラエティに富んでいることを示すものであり、動物行動学の分野に新たな光を投じるものだと研究チームは説明している。

また、多くのカブトムシファンの子どもたちが、より生き物に興味を持ち、しかも自分でも面白い発見ができるかもしれない、と希望を持ってもらえればともしている。

  • カブトムシ

    カブトムシの幼虫が連続回転しながら地面を掘り進む様子 (出所:阪大Webサイト)